環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第6章>第4節 国際的取組に係る施策

第4節 国際的取組に係る施策

1 地球環境保全等に関する国際協力の推進

(1)質の高い環境インフラの普及

2017年5月策定の「インフラシステム輸出戦略」(2017年度改訂版)を踏まえ、2017年7月に[1]二国間政策対話、地域内フォーラム等を活用したトップセールス、[2]プロジェクト形成に向けた制度から技術、ファイナンスまでのパッケージ支援、[3]民間企業、自治体、関係省庁や国内外の援助機関等と連携した実施体制の強化を三つの柱とする「環境インフラ海外展開基本戦略」を策定しました。具体的には「ジャパン環境ウィーク」等を実施することとし、パートナー国やその自治体の制度づくり、人材育成、案件形成及び二国間オフセット・クレジット制度(JCM)等を活用した資金支援を実施します。これにより、質の高い環境インフラの海外展開を進め、途上国の環境改善及び気候変動対策の促進とともに、我が国の経済成長にも貢献していきます。

海外での案件においても適切な環境配慮がなされるよう、日本の環境影響評価に関する知見を活かした諸外国への協力支援や、国際協力開発機構(JICA)環境社会配慮ガイドライン等を踏まえた取組を支援することによって、環境問題が改善に向かうよう努めます。

(2)地域国際機関との連携・協力

相手国・組織に応じた戦略的な連携や協力を行います。具体的には、アジア諸国やG7を中心とした各国と、政策対話等を通じた連携・協力を深化させます。特に、G7各国とはG7富山環境大臣会合において合意されたG7協調行動計画に基づき、持続可能な開発目標(SDGs)の実施に向けた取組を進めます。ASEAN地域でのSDGs達成のため、「日ASEAN環境協力イニシアティブ」の下、環境分野での協力プロジェクトを促進します。さらに、日中韓、ASEAN、東アジア首脳会議(EAS)等の地域間枠組みに基づく環境大臣会合に積極的に貢献するとともに、国連環境計画(UNEP)、経済協力開発機構(OECD)、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、アジア開発銀行(ADB)、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)等の国際機関等との連携を進めます。

(3)多国間資金や民間資金の積極的活用

多国間資金については、特に、緑の気候基金(GCF)及び世界銀行、地球環境ファシリティ(GEF)に対する貢献を行うほか、ADBに設立されたJCM日本基金を活用して優れた低炭素技術の普及支援を行います。また、民間資金の動員を拡大するため、環境インフラやプロジェクトの投資に係るリスク緩和に向けた取組を支援します。

(4)国際的な各主体間のネットワークの充実・強化
ア 自治体間の連携

大気の分野では、自治体レベルでの行動を強化するため、我が国の自治体が国際的に行う自治体間連携の取組を支援し、自治体間の相互学習を通じた能力開発を促します。また、日本の自治体が有する経験・ノウハウを活用し、都市における低炭素化社会の構築に向けた取組を支援します。

イ 市民レベルでの連携

持続可能な社会を形成していくためには、国や企業だけではなくNGO・NPOを含む市民社会とのパートナーシップの構築が重要です。このため、市民社会が有する情報・知見を共有し発信するような取組を引き続き実施します。

(5)国際的な枠組みにおける主導的役割

地球環境保全に係る国際的な枠組みにおいて主導的な役割を担います。具体的には、SDGsを中核とする2030アジェンダに関する我が国の取組を国際的にも発信するに当たり、国際経済社会局(UN DESA)やアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)等に協力し、関連する国際会議等におけるSDGsのフォローアップ・レビューに貢献していきます。また、2019年のG20議長国として環境分野の国際的な議論の進展に貢献していくとともに、G7プロセスについてもG7富山環境大臣会合等の結果を踏まえて主導的な役割を果たします。さらに、自由貿易と環境保全を相互支持的に達成させるため、経済連携協定等において環境への配慮が適切にされるよう努めるとともに、これらの協定締結国との間で我が国が強みを有する環境技術等の促進を図っていきます。加えて、パリ協定の実施指針等の策定に向けた交渉に積極的に参加します。このほか、水銀に関する水俣条約の実施及び有効性の評価に向けた交渉を水銀対策先進国として積極的にリードし、我が国が持つ技術や知見を活用しつつ国際機関とも連携し、途上国を始めとする各国の条約実施に貢献します。