環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第2章>第6節 国際的取組

第6節 国際的取組

1 生物多様性の保全に関する世界目標の達成に向けた貢献

生物多様性条約事務局に設置した「生物多様性日本基金」を通じて、生物多様性国家戦略の策定・改定など、愛知目標の達成に必要となる各種取組に関する途上国の能力養成を支援します。また、2020年以降の新たな世界目標の策定に向けた議論に積極的に貢献します。

2 生物多様性及び生態系サービスに関する科学と政策のインターフェースの強化

生物多様性や生態系サービスに関して科学と政策の結び付きを国際的に強化するため、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」の活動を支援します。特に、アジア・オセアニア地域技術支援機関の活動を引き続き支援するほか、評価報告書等に我が国の知見を効果的に反映させるため、国内専門家及び関係省庁による国内連絡会を開催します。また、IPBESの成果を踏まえて研究や対策等の取組が促進されるよう、2018年3月に公表された生物多様性と生態系サービスに関するアジア・オセアニア地域の評価報告書を含むIPBESのこれまでの成果を国内に発信します。

3 二次的自然環境における生物多様性の保全と持続可能な利用・管理の促進

二次的自然環境における生物多様性の保全と持続可能な利用・管理を促進するため、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)の取組への支援等により、SATOYAMAイニシアティブを推進します。

4 アジア保護地域パートナーシップの推進

アジアにおける保護地域の管理水準の向上に向けて、保護地域の関係者がワークショップの開催等を通じて情報共有を図る枠組みである「アジア保護地域パートナーシップ」を推進します。

5 森林の保全と持続可能な経営の推進

世界における持続可能な森林経営に向けた取組を推進するため、国連森林フォーラム(UNFF)、モントリオールプロセス等の国際対話への積極的な参画、国際熱帯木材機関(ITTO)、国連食糧農業機関(FAO)等の国際機関を通じた協力、国際協力機構(JICA)、世界銀行の森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)、緑の気候基金(GCF)等を通じた技術・資金協力等により、多国間、地域間、二国間の多様な枠組みを活用した取組の推進に努めます。

6 砂漠化対策の推進

砂漠化対処条約(UNCCD)に関する国際的動向を踏まえつつ、同条約への科学技術面からの貢献を念頭に砂漠化対処のための技術の活用に関する調査等を進めるとともに、二国間協力等の国際協力の推進に努めます。

7 南極地域の環境の保護

南極地域の環境保護を図るため、南極地域での観測、観光等に対する確認制度等を運用し、普及啓発を行うなど、環境保護に関する南極条約議定書及びその国内担保法である南極地域の環境の保護に関する法律(平成9年法律第61号)の適正な施行を推進します。2005年6月の南極条約協議国会議で採択された環境上の緊急事態に対する責任について定めた南極条約環境保護議定書附属書について、引き続き対応を検討します。また、毎年開催される「南極条約協議国会議」に参加し、南極における環境の保護の方策について議論を行います。さらに、政府の職員が第60次南極地域観測隊に同行し、基地活動による南極地域の環境への影響を調べ、今後の活動の内容等について検討します。

8 サンゴ礁の保全

国際サンゴ礁イニシアティブ(ICRI)の枠組みの中で策定した「地球規模サンゴ礁モニタリングネットワーク(GCRMN)東アジア地域解析実施計画書」に基づき、サンゴ礁生態系のモニタリングデータの地球規模の解析を各国と協力して進めます。

9 生物多様性関連諸条約の実施

ワシントン条約に基づく絶滅のおそれのある野生生物種の保護、ラムサール条約に基づく国際的に重要な湿地の保全及び適正な利用、二国間渡り鳥等保護条約や協定を通じた渡り鳥等の保全、カルタヘナ議定書に基づく遺伝子組換え生物等の使用等の規制を通じた生物多様性影響の防止、名古屋議定書に基づく遺伝資源への適正なアクセスと利益配分の推進等の国際的取組を推進します。