環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部>第5章 化学物質の環境リスクの評価・管理>第1節 化学物質の環境中の残留実態の現状

第5章 化学物質の環境リスクの評価・管理

第1節 化学物質の環境中の残留実態の現状

現代の社会においては、様々な産業活動や日常生活に多種多様な化学物質が利用され、私たちの生活に利便を提供しています。また、物の焼却等に伴い非意図的に発生する化学物質もあります。化学物質の中には、適切な管理が行われない場合に環境汚染を引き起こし、人の健康や生活環境に有害な影響を及ぼすものがあります。

化学物質の一般環境中の残留実態については、毎年、化学物質環境実態調査を行い、「化学物質と環境」として公表しています。2016年度においては、[1]初期環境調査、[2]詳細環境調査及び[3]モニタリング調査の三つの体系として調査を実施しました。これらの調査結果は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号。以下「化学物質審査規制法」という。)のリスク評価及び規制対象物質の追加の検討、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号。以下「化学物質排出把握管理促進法」という。)の指定化学物質の指定の検討、環境リスク評価の実施のための基礎資料など、各種の化学物質関連施策に活用されています。

1 初期環境調査

初期環境調査は、化学物質排出把握管理促進法の指定化学物質の指定やその他化学物質による環境リスクに係る施策についての基礎資料とすることを目的としています。2016年度は、調査対象物質の特性に応じて、水質、底質又は大気について調査を実施し、対象とした15物質(群)のうち、7物質(群)が検出されました。また、2017年度は、15物質(群)について調査を実施しました。

2 詳細環境調査

詳細環境調査は、化学物質審査規制法の優先評価化学物質のリスク評価を行うための基礎資料とすることを目的としています。2016年度は、調査対象物質の特性に応じて、水質、底質、生物又は大気について調査を実施し、対象とした22物質(群)のうち、18物質(群)が検出されました。また、2017年度は、10物質(群)について調査を実施しました。

3 モニタリング調査

モニタリング調査は、難分解性、高蓄積性等の性質を持つポリ塩化ビフェニル(PCB)、ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)等の化学物質の残留実態を経年的に把握するための調査であり、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下「POPs条約」という。)の対象物質及びその候補となる可能性のある物質並びに化学物質審査規制法の特定化学物質等を対象に、物質の特性に応じて、水質、底質、生物又は大気について調査を実施しています。

2016年度は、16物質(群)について調査を実施し、それまでの結果を解析したところ、POPs条約対象物質については、全ての媒体で濃度レベルが総じて横ばい又は漸減傾向を示していました。また、2017年度は14物質(群)について調査を実施しました。