環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第6章>第9節 原子力利用における安全の確保

第9節 原子力利用における安全の確保

1 原子力規制行政に対する信頼の確保

原子力規制委員会は、原子力規制行政の信頼を確保するため、2016年に引き続き、独立性・中立性・透明性の確保、組織体制及び運営の継続的改善、国際社会との連携・協力等を図ります。

特に、2015年度に受け入れた総合規制評価サービス(IRRS)において明らかになった課題へ、引き続き対応していきます。

2 原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施

原子力規制委員会は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)及び放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律(昭和32年法律第167号)に係る規制制度の継続的改善のため、事業者等に対する検査制度の見直し、放射性同位元素の防護措置の義務化等の措置に関し、関連法令の整備を進め、規制制度の運用に向けた準備を行います。また、2016年度に引き続き、実用発電用原子炉、核燃料施設等の新規制基準への適合性に関する申請を含め、事業者等からの申請に基づき、厳正かつ適切に審査・検査を実施します。

3 東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組の監視等

東京電力福島第一原子力発電所における廃炉・汚染水対策については、政府が総力を挙げて対策を実施しており、原子力規制委員会は、原子力災害対策本部の下に置かれている各種会議・会合等において情報共有や連携強化を行っています。また、特定原子力施設に係る実施計画の審査及び施設の検査を厳正かつ適切に行うとともに、福島第一原子力発電所の中期的リスクの低減目標マップに示された一つ一つの事項が早期に達成されるよう、規制当局として技術的観点から東京電力を積極的に指導します。

また、東京電力福島第一原子力発電所事故の分析を継続的に実施します。また、その結果を海外に積極的に発信するとともに、国際的な調査研究活動等に参加し、国際的な原子力の安全向上に貢献します。

4 原子力の安全確保に向けた技術・人材の基盤の構築

原子力規制委員会は、最新の科学的・技術的知見を取得するための安全研究を推進するとともに、国内外の情報の収集を行い、それらに基づく規制基準の不断の見直しを行います。

また、原子力規制に携わる人材の確保・育成のため、優秀な実務経験者の確保、研修体系等の整備等を行います。

5 核セキュリティ対策の強化及び保障措置の着実な実施

原子力規制委員会は、2014年度に受け入れた国際原子力機関(IAEA)の国際核物質防護諮問サービス(IPPAS)において示された勧告事項や助言事項に対して評価を得るIPPASフォローアップミッションの受入れに向けた取組を進めることによって、国際的な情勢を踏まえた核セキュリティ対策の強化を図ります。

また、国際約束に基づく保障措置を着実に実施し、東京電力福島第一原子力発電所における廃炉作業の進捗に合わせた保障措置活動等に取り組みます。さらに、その他の原子力の平和的利用の確保のための取組を行います。

6 原子力災害対策及び放射線モニタリングの充実

原子力規制委員会は、現行の原子力災害対策指針において課題とされている点等について、最新の科学的知見や国際的動向等を踏まえて更なる検討を進めるとともに、その結果を取りまとめて、適切に当該指針に反映します。

また、東京電力福島第一原子力発電所事故後の対応として、政府が定めた「総合モニタリング計画(2011年8月2日モニタリング調整会議決定、2015年4月1日改定)」に基づき、福島県を中心に陸域・海域の放射線モニタリングを着実に実施し、国内外に分かりやすく情報提供します。あわせて、全国の原子力施設立地地域において、緊急時モニタリング体制の充実・強化を図ります。

さらに、原子力規制委員会の緊急時対応能力をより一層強化するため、関連するマニュアルの策定又は修正等を行うとともに、国及び地方自治体が実施する防災訓練等に積極的に参加し、初動対応手順の更なる習熟を図ります。