環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成28年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第2章>第5節 科学的基盤を強化し、政策に結び付ける取組

第5節 科学的基盤を強化し、政策に結び付ける取組

1 基礎的データの整備

(1)自然環境調査とモニタリング

 自然環境保全基礎調査の一環として、植生調査等、我が国の生物多様性に関する情報の収集整備を行います。植生調査では、1/2.5万現存植生図の整備を進めます。また、海岸線及び海岸陸域の自然状態の変化状況を把握する調査を行うとともに、クマ等の動物調査を行います。

 「モニタリングサイト1000」では、高山帯、森林・草原、里地里山、陸水域(湖沼及び湿原)、沿岸域(砂浜、磯、干潟、アマモ場、藻場及びサンゴ礁)、小島嶼(しょ)の各生態系について、生態系タイプごとに定めた調査項目及び調査手法により、引き続き合計約1,000か所の調査サイトでのモニタリング調査を実施します。

 また、インターネットを使って、全国の生物多様性データを収集共有化し、提供するシステム「いきものログ」(http://ikilog.biodic.go.jp/(別ウィンドウ))を通じて、様々な関係機関・専門家・一般市民から質の高い多くの生物多様性データを収集し、広く提供していきます。さらに、第3期の取りまとめ報告書の作成に向け、これまでに取得されたデータの総合的な分析や検討を進めます。

(2)地球規模のデータ整備や研究等

 地球規模での生物多様性保全に必要な科学的基盤の強化のため、アジア太平洋地域の生物多様性観測モニタリングデータの収集・統合化等を推進する、「アジア太平洋生物多様性観測ネットワーク(AP-BON)」への支援を行います。また、東・東南アジア地域での生物多様性の保全と持続可能な利用のための生物多様性情報整備と分類学能力の向上に貢献するための「東・東南アジア生物多様性情報イニシアティブ(ESABII)」において、当該地域で特に施策上重要と思われる生物多様性情報を整備するとともに、分類学の能力向上のための研修を実施します。AP-BON及びESABIIにおける我が国の活動において、「生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム(IPBES)」の活動、特に科学評価活動及び能力構築活動と連携を図り、アジア地域におけるIPBESの活動の推進に効果的に貢献することを目指します。

 また、独立行政法人国立科学博物館において、分野横断的な総合研究等の調査研究を推進するとともに、約436万点の登録標本を保管し、これらの情報を引き続きインターネット上で広く公開します(http://www.kahaku.go.jp/research/(別ウィンドウ))。また、地球規模生物多様性情報機構(GBIF)の日本ノード(データ提供拠点)である独立行政法人国立科学博物館及び大学共同利用機関法人情報・システム研究機構国立遺伝学研究所と連携しながら、生物多様性情報を国際的に提供するとともに、様々な企画展や講座、体験教室等展示・学習支援活動を実施します。

2 科学と政策の結び付きの強化

 生物多様性及び生態系サービスに関する科学と政策の連携の強化を目的として設立されたIPBESにおける生物多様性と生態系サービスの評価活動も踏まえつつ、IPBES作業計画に我が国の知見を効果的にインプットし作業計画に貢献するため、IPBESに関わる国内専門家及び関係省庁間における国内連絡会を開催するとともに、我が国を含むアジア太平洋地域の生物多様性と生態系サービスの評価の実施に効果的に貢献することを目指します。