環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書施策第6章>第7節 環境影響評価等

第7節 環境影響評価等

1 戦略的環境アセスメントの導入

 国民や事業者等が容易に必要な関連情報にアクセスできる情報基盤の整備などを行うとともに、より上位の計画や政策の決定に当たっての戦略的環境アセスメントの導入に関する検討を進めます。

2 環境影響評価の実施

(1)環境影響評価法に基づく環境影響審査の実施

 環境影響評価法(平成9年法律第81号)に基づき、規模が大きく環境影響の程度が著しいものとなるおそれがある事業等について、環境影響評価の適正な運用及び個別法等に基づく環境保全上の配慮の徹底に努めるとともに、環境影響評価手続が完了した後も、環境大臣意見を述べた事業、事後調査を実施することとされている事業等について、適切にフォローアップを行います。

 また、環境影響評価の信頼性の確保や評価技術の質の向上に資することを目的として、調査・予測等に係る技術手法の開発を引き続き推進するとともに、国・地方公共団体等の環境影響評価事例や制度及び技術の基礎的知識等の情報の整備・提供・普及を進めます。

(2)環境影響評価の迅速化に関する取組

 火力発電所のリプレースや風力・地熱発電所の設置の事業に係る環境影響評価手続について、従来3年~4年程度要していた期間を、火力発電所リプレースについては最短1年強まで短縮、風力・地熱発電所についてはおおむね半減させることを目指します。このために、国の審査期間の短縮や、既存調査結果を活用した現地調査の合理化や省力化を進めます。なお、風力・地熱発電所については、質の高い環境影響評価を効率的に実施できるよう、風況等から判断し風力発電等の適地と考えられる地域の環境情報(貴重な動植物の生息・生育状況等の情報)や環境影響評価に関連する技術情報の収集・整理を行い、これらの情報を「環境アセスメント環境基礎情報データベースシステム」(https://www2.env.go.jp/eiadb/(別ウィンドウ))を通じて提供します。

(3)風力発電等に係る地域主導型の戦略的適地抽出手法の構築事業

 低炭素社会の創出に貢献し、かつ自立分散型で災害に強い再生可能エネルギー利用を飛躍的に拡大することが現在求められています。一方、風力発電等の立地に当たっては、従来、事業者が単独で計画を立案して進めてきましたが、環境影響に関する懸念や先行利用者との調整等により事業計画の構想・立案が長期化したり、円滑に進まない事例が散見されます。そのため、地域(地方公共団体)の主導により、先行利用者との調整や各種規制手続の事前調整等を図り、また、必要な環境情報の収集等によりそれらと一体的に環境影響評価手続を進めることで、事業者の事業計画の推進と環境配慮の両面から「風力発電等の適地」を抽出する手法の構築を目指します。平成27年度は、同事業の一環として、実際に風力発電の適地抽出を実践するモデル地域を地方公共団体から公募し、応募があった地域の中から陸上、洋上、地域特性等を考慮してモデル地域として3地域程度を選定します。また、選定されたモデル地域において適地の抽出を進めていきます。

(4)環境影響評価に係る国際展開について

 アジア各国における環境影響評価の運用実態について情報収集を行うとともに、各国が抱える共通の課題や我が国の経験を共有することで、各国の課題解決及び我が国の技術展開に貢献すべく、取組を開始します。