環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成27年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第1部>第4章 地域・国・世界をつくる国民一人一人の持続可能性>第1節 持続可能な社会をつくるライフスタイル

第4章 地域・国・世界をつくる国民一人一人の持続可能性

第1節 持続可能な社会をつくるライフスタイル

1 環境に対する国民の意識と活動の現状

 地球上の資源は有限である中で、持続可能な社会を構築するには、私たち国民一人一人が常に持続可能性に配慮して行動をしていくことが必要です。ところが、環境問題に関する日本人の行動は、日常生活の中で実施されるものに限られる傾向があります。環境省の「環境にやさしいライフスタイル実態調査(平成25年度調査)」で、環境に配慮した行動(以下「環境配慮行動」という。)ごとにその行動を実施している人の割合を見ると、「ごみの分別」、「節水」等、日常生活の中で実施可能なものが多く、日常生活以外の、言わばより積極的な環境配慮行動の割合は少ない傾向が見られます(図4-1-1)。


図4-1-1 環境配慮行動の傾向

 しかし、例えば実施割合が少なかった「物・サービスを購入するときは環境への影響を考えてから選択する」という環境配慮行動は、次項で紹介するカーシェアリングや自転車、高断熱高気密住宅のように、環境に配慮するのみならず、健康で質の高い生活等を送ることにもつながり得る行動です。第1章第1節で述べたとおり、我が国において心の豊かさや生活の質を重視する傾向が高まっていることを踏まえれば、「日常生活に環境配慮を織り込む」ことにとどまらず、持続可能性にも配慮した、より積極的な環境配慮行動が生活の質を向上させるという視点を国内に普及させていくことが、より積極的な環境配慮行動を促していく上で重要と言えます。

 次項では、このような持続可能な社会をつくるライフスタイルに関する事例を通じて、環境に良い行動が、環境負荷や生活コストの低減、健康的な生活、食材等の自然の恵みの享受につながることを紹介します。

グッドライフアワード

 環境省では、「持続可能な社会」の実現を目指し、一人一人がライフスタイルを見つめ直すきっかけを作ることを目的として、「グッドライフアワード」を平成25年度から開催しています。

 このアワードでは、企業、地方公共団体、個人等の幅広い主体を対象に取組を募集し、「環境と社会によい暮らし」に関わる優れた取組を、環境大臣賞として決定、表彰しています。


平成26年度環境大臣賞受賞の様子

 平成25年度は、岩手県大船渡市等で漁場の再生のためにダイバーが海底の震災がれきの撤去作業等を続けている、NPO法人三陸ボランティアダイバーズの「三陸の海を取り戻せ!(三陸沿岸部復興・保全活動)」 が、平成26年度は、地域の高齢者が、その知恵やノウハウを生かして山菜採りを代行する株式会社あきた森の宅配便の「天然山菜採り代行サービス ~山のめぐみを、おすそ分けっ!~」が、それぞれ環境大臣賞最優秀賞を受賞しました。いずれも、環境保全や地域の活性化を通じて持続可能な社会づくりを進める活動です。受賞者の取組については、ウェブサイトで紹介しています。

 「グッドライフアワード」http://www.env.go.jp/policy/kihon_keikaku/goodlifeaward/(別ウィンドウ)

2 持続可能なライフスタイル

(1)環境にやさしく経済的な移動手段

ア カーシェアリングの活用

 自動車は、特に地方圏において交通手段の中心になっている一方で、鉄道などの公共交通に比べ、1人を1km輸送するのに係る温室効果ガス排出量が大きいという側面もあります。近年、こうした自動車から発生する環境負荷の低減に資する、様々な取組が進んでいます。例えば、走行に関する温室効果ガス排出量が少ないハイブリッド自動車に加え、電気自動車(EV)についても徐々に普及が進んでいるほか、平成26年には我が国の自動車会社が世界で初めて燃料電池車(FCV)を市場投入するなど、環境負荷の少ない次世代自動車において、我が国は世界をリードしています。一方で、こうした自動車本体のみならず、自動車の利用の仕方においても、自らの家族構成や生活スタイルに基づく自動車利用の頻度や利用時間の長さの実態を踏まえ、あるいは、より経済的に自動車を利用するために、自動車を持たずに必要なときだけ使用したいというニーズを踏まえ、環境負荷の低減に資する「カーシェアリング」の取組が広がってきています。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団によれば、カーシェアリングとは「1台の自動車を複数の会員が共同で利用する、自動車の新しい利用形態」とされています。すなわち、カーシェアリング事業会社に登録した複数の会員が、時間をずらして同じ1台の自動車を利用するものです。

 近年、価値観の変化の中で、シンプルライフの一環としてモノを持たない生活スタイルを好む人も現れています。モノを所有することにより、所有欲は満たされますが、一方で購入・維持・廃棄にたくさんの手間とコストがかかるという考え方もできます。加えて、環境の視点からは、一人一人がモノを持ち過ぎないことにより、「たくさんの資源を消費し、その維持にたくさんの資源を消費し、さらに廃棄時にはたくさんのエネルギーをかけて処理し、その結果たくさんの廃棄物が発生する」ということを避けることが可能となります。こうした価値観の変化も、カーシェアリングが広がっている理由の一つと考えられます。

 1980年代後半に欧州で始まったカーシェアリングは、世界の登録車両台数が4万3,500台、利用人口は約178万人に達しています(平成24年10月時点)。我が国でも、平成14年にカーシェアリング事業を営む会社が初めて誕生し、近年では車両台数及び会員制の事業者への登録会員数が増加しています(図4-1-2)。以上のように、我が国でもカーシェアリングが着実に広まってきていることがうかがえます。


図4-1-2 我が国のカーシェアリング車両台数及び主要事業者への登録会員数の推移

 また、カーシェアリングと自家用車保有のコストについて、カーシェアリングを利用した場合と軽自動車1台を3年間保有した場合で比べると、後者は維持費等で計約70~100万円多くかかるとされており、カーシェアリングがより経済性に優れていることが同財団により試算されています。

 さらに、温室効果ガスの排出量に関しても、同財団によると、[1]カーシェアリングへの加入により、約3割の世帯が保有車数を減らしたこと(平均自動車保有台数は0.45台/世帯から0.17台/世帯へと約6割減)、[2]車を必要な時だけ使うようになり、1世帯当たりの年間自動車総走行距離が平均約4割減少したこと(自家用車、レンタカー、カーシェアリングを加えた年間自動車総走行距離が、4,048kmから2,563kmに減少)から、カーシェアリングへの加入により、1世帯当たりの自動車の利用によるCO2の年間排出量が55.1%と、ほぼ半減するとの試算がなされています(図4-1-3)。


図4-1-3 カーシェアリング加入前後での、車利用による世帯当たり年間CO2排出量の変化

 次に、カーシェアリング事業者が平成25年に利用者に行った満足度に関するアンケート調査を見てみると、カーシェアリング利用者の満足度が高い項目は「自宅近くで借りられる」が58.6%、「維持費がかからず経済的」が56.8%、「24時間いつでも利用できる」が43.0%となっています。マイカーのような「利便性」を維持しつつ、費用は使った分だけという「経済性」が評価されていることがうかがえます(図4-1-4)。また、前掲の交通エコロジー・モビリティ財団がカーシェアリング加入前後の利用者の意識も調査したところ、「車を必要な時だけ使うようになった」と回答した利用者が8割を超えています(図4-1-5)。このように、カーシェアリングは個人の意識を変える契機となっており、結果的に環境にも配慮した行動につながっていることが分かります。


図4-1-4 カーシェアリングに対する満足度

図4-1-5 カーシェアリング加入による意識変化

 カーシェアリングという取組が今後増加することにより、CO2の排出削減や車両維持コストの削減が期待されます。また、そもそも自動車を持たない(保有車数を減らす)ことにより、廃車・廃棄される自動車が年間平均350万台発生する我が国における資源利用の低減(リデュース)といった環境の側面に加え、個人一人一人の環境に対する意識の変化につながり、結果として「環境にやさしく経済的な生活」を志向する人が増えていくことにつながると思われます。

イ 自転車の活用推進の取組

 温室効果ガスの排出削減や大気汚染の防止等の観点を踏まえると、自転車の活用は有効な環境負荷低減策です。

 自転車は、基本的に人力を動力源とすることから、化石燃料起源のCO2や粒子状物質等の環境に深刻な影響を及ぼすおそれのある物質を発生しないという特性、そして騒音及び振動を発生しないという特性があります。加えて、健康の増進に寄与したり、交通の混雑の緩和による経済的社会的効果をもたらすことが期待できるほか、災害時等において機動的であるという特性を有しています。

 こうした特性等を踏まえ、地方自治体や民間事業者により、自転車の活用を推進するための取組が進められています。例えば、栃木県宇都宮市では、市街地を中心に平坦地が広がる地理的特性や、降水量が比較的少なく、冬季の日照時間が長いという気候的特性、さらには日本初の地域密着型プロロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」の活動拠点となっていることなどを踏まえ、「自転車で“走れば愉快だ”宇都宮」をキャッチフレーズに、「宇都宮市自転車のまち推進計画」を策定しています。同計画では、自転車のメリットについて、「自転車利用の魅力を表す『5つのK』」として、環境負荷、健康増進、快適性、経済性、交通安全の五つの観点から「利用者」、「まち」及び「企業」ごとに整理しています(表4-1-1)。さらに、誰もが安全に便利で楽しく自転車が利用でき、人と環境にやさしい自転車を愛するまちを目指して、自転車交通量の多い道路や幹線道路等において自転車ネットワーク路線を設定し、自転車専用通行帯等の自転車通行空間の整備(写真4-1-1)、鉄道駅周辺等における駐輪場の整備や休憩スポット(自転車の駅)の設置等、ハード面の充実を図っています。加えて、小・中学校や老人クラブなどの高齢者を対象とした交通安全教室の拡充、宇都宮ブリッツェン等と連携したウィーラースクール(子供向け自転車教室)の実施等、ソフト面での対策も組み合わせて展開しています。


表4-1-1 自転車利用の魅力を表す「5つのK」

写真4-1-1 市道28号線に整備した自転車専用通行帯(平成26年整備)

 このように、環境への負荷低減に資する自転車の活用を促進する取組が日本各地にさらに広がることで、環境に優しい、持続可能な地域づくりに資することが期待されます。

(2)高断熱高気密住宅による持続可能で健康な生活づくり

 我が国のエネルギー消費量の推移を見ると、家庭部門のエネルギー消費は、近年減少傾向にあるものの、平成2年度比では+20.0%と上昇しています(図4-1-6)。このため、私たち一人一人が、家庭における普段の暮らしの中で、冷暖房を始めとしたエネルギー消費量を減らす工夫をしていくことが重要です。


図4-1-6 我が国の部門別最終エネルギー消費の推移

 近年普及が進んでいる、断熱・気密性を向上させた住宅(以下「高断熱高気密住宅」という。)に居住することについては、冷暖房による消費エネルギーを削減するのみならず(図4-1-7)、様々な利点があることが指摘されています。


図4-1-7 年間冷暖房エネルギー消費量の高断熱高気密住宅と無断熱住宅における比較

 例えば、住宅内の各部屋の室温差を高断熱高気密化によりできるだけ少なくすることで、いわゆる「ヒートショック」による死亡率が低下したり、疾病有病率が下がるなどの効果があることが指摘されています。地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所によれば、ヒートショックは「温度の急激な変化で血圧が上下に大きく変動すること等によって起こる健康被害」とされています。例えば、脱衣所で衣服を脱いで血圧が急激に上昇したり、その冷えた体で湯船に浸かることで血圧が低下して、失神、心筋梗塞(こうそく)や不整脈、脳梗塞(こうそく)等を起こします。特に、冬場の入浴時に起こりやすいとされています(図4-1-8)。また、同研究所によれば、平成23年に発生したヒートショック関連の入浴中心肺停止事例約1万7,000件のうち、約8割が高齢者と推測されています。一方、一般財団法人ベターリビング・健康長寿住宅エビデンス取得委員会によれば、自宅の断熱改修を行った平均年齢約70歳の52名について、改修の前後で24時間血圧測定を実施したところ、全日で最高血圧と最低血圧が有意に低下するという結果が得られています(図4-1-9)。


図4-1-8 我が国における、入浴時心肺停止状態の月ごとの発生状況

図4-1-9 断熱改修による血圧の低下

 また、既存の研究によれば、有病率についても、高断熱高気密住宅への転居者約1万人を対象に行った調査の結果、アトピー性皮膚炎や喘(ぜん)息等の10の疾病について、高断熱高気密住宅への転居後にこれらの疾病が無くなったと回答した人の割合(改善率)は27~84%と大幅な改善が見られました(図4-1-10)。同研究によれば、高断熱高気密住宅に転居しなかった場合の疾病による医療費の損失が、年収約450万円の家庭で年間1世帯当たり2万7,000円と推計されているほか、エネルギー効率の改善により同規模の家庭で年間約3万5,000円のコストが削減できると試算しており、これらを合わせると、1世帯当たり年間6万2,000円の便益があったとされています。


図4-1-10 高断熱高気密住宅への転居による有病率の変化と疾病改善率

 このように、高断熱高気密住宅は、脳・心臓疾患等の疾病の予防の観点、省エネルギーの観点、さらにはエネルギー由来の温室効果ガスの排出抑制等の持続可能な生活づくりの観点から、その普及が期待されます。

(3)生物多様性が支える持続可能で恵み豊かな生活

 私たちの暮らしは、生物多様性に支えられています。例えば、お米、海苔(のり)、魚の干物、パン、牛乳、卵等の多様な自然の恵みは、元々は全てが生き物であり、自然の恵みです。また、森林は私たちに酸素やおいしい水を供給したり、土砂崩れ等の災害を防ぐ働きをしたりします。また自然の風景は私たちの心を癒し、多くの人が出掛けていきます。このように、我々が自然から得ている恵みは大きく、かつ多岐に渡るものです。生物多様性があることで、私たちは選択肢に満ちた、恵み豊かな生活を送ることができます。

 近年、この恵みを定量的に評価する試みが行われています。例えば、生物多様性の価値を経済的に評価するプロジェクトである「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」では、サンゴ礁が人間にもたらす便益は、地域の食料や漁業資源になる海水魚の生息地になるなど、年間300~1,720億米ドル(約3.3兆~18.9兆円)に達するとしています。また、2005年(平成17年)の一年間に、昆虫が農作物の授粉を行ったことによる経済的価値は、1,530億ユーロ(約21.4兆円)に達したとされています。

 一方で、私たちの日常の行動は、暮らしを支える生物多様性に対して大きな負荷も与えています。しかしながら、日常の暮らしの中では生物多様性は実感しにくく、少し遠い印象があります。内閣府の「環境問題に関する世論調査」によると、愛知県名古屋市で平成22年に開催された「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」を契機に、生物多様性の国民認識度は平成21年の36.4%から平成24年の55.7%に上昇したものの、平成26年には46.4%に下がっていることが明らかになりました。私たちが恵み豊かな生活を将来世代にわたって続けていくためには、生物多様性を意識し、日常の行動を見直すことが必要です。

 環境省が事務局を務める「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)」では、私たち一人一人が生物多様性との関わりを日常の暮らしの中でとらえ、実感し、身近なところから行動できる5つのアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)を呼び掛けています。5つのアクションは生物多様性に良いだけでなく、楽しく暮らすためのキーワードになっています。

 食事の時間は、日常の中で最も生物多様性を実感できる時間です。「たべよう」では、地元で採れたものを食べ、旬のものを味わうことを提案しています。地域ならでの伝統的な野菜、山菜、魚介類は、地域の生物多様性そのものです。旬は、その食べ物が一番おいしく、値段も安くなる時期です。地域の素材を使って作られる伝統食は、生物多様性の恵みです。また、身近な場所で作られた食べ物を選ぶことは、輸送にかかるエネルギーを節約するだけでなく、私たちの住む地域を応援することにもつながります。

 「ふれよう」では、自然の中へ出掛けたり、動物園や植物園などを訪ね、自然や生き物にふれることを提案しています。自然の中に出掛けたり、近所の公園で生き物を観察したりするのはとても楽しい時間です。実際に生き物の素晴らしさや不思議にふれることで、自然を大切にしようという気持ちが生まれます。

 「つたえよう」では、自然の素晴らしさや季節の移ろいを感じ、写真や絵、文章等で伝えることを呼び掛けています。古来より、多くの芸術作品は自然を対象としてきました。季節の移ろいを感じ、そこに美しさを見出して、それを他人に伝えるために表現することで、豊かな感性が磨かれます。

 「まもろう」では、生き物や自然、人や文化との「つながり」を守るため、地域や全国の活動に参加することを呼び掛けています。ごみ拾いや植樹など、すぐに始められる身近な活動のほか、間伐や下草刈り等の里地里山の維持管理活動、外来種の防除といった本格的なものまで、活動は様々です。こうした活動に参加することにより、地域の生物多様性や自然をより深く知ることができます。

 「えらぼう」では、エコラベル等が付いた、環境に優しい商品を選択して買うことを提案しています。生物多様性への配慮や、持続可能な方法で作られていることを証明する認証が付けられた食品や製品は、近年身近なお店でも多く見られるようになっています。認証がついていないものに比べると値段が高いものもありますが、それを購入することで、生物多様性の保全と持続可能な利用に貢献できます。

 UNDB-Jは、国民が自身の生活の中でこれらの5つのアクションを行うことを宣言する「MY行動宣言」を推進しており、行動のきっかけとなるシートを配布しています(図4-1-11)。5つのアクションが浸透することにより、地球全体で生物多様性の損失を防ぐことができ、その持続可能な利用が進むだけでなく、私たち一人一人が地域の恵みを感じ、恵み豊かな生活を送ることにつながることが期待されます。

 「MY行動宣言」http://undb.jp/committee/tool/action/(別ウィンドウ)


図4-1-11 MY行動宣言シート

生物多様性アクション大賞

 全国各地で5つのアクションに取り組む団体や個人を、5つのアクションに対応する5部門で表彰する「生物多様性アクション大賞」が平成25年に創設されました。平成26年度からは、UNDB-Jと一般財団法人セブン-イレブン記念財団との共催により実施しています。


生物多様性アクション大賞2014

 平成26年度の生物多様性アクション大賞では、全国から124の応募がありました。その中から特に優れた取組として、「まもろう部門」を受賞した「まるやま組(石川県輪島市の市民団体)」の取組「アエノコト」が大賞に選ばれました。

 「アエノコト」とは、奥能登で行われている田の神様に収穫の感謝と豊穣を願う農耕儀礼のことで、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。この伝統儀礼を支える地域の生物多様性を調べ、分かりやすくまとめた「まるやま組」の取組は、日本の文化を大切にする、食べることを通じて生物多様性と自然の恵みに感謝するといった、日本人の忘れかけている大切なことを伝えている点が高く評価されました。