環境省環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書平成26年版 環境・循環型社会・生物多様性白書状況第2部第2章>第7節 東日本大震災からの復興・再生に向けた自然共生社会づくりの取組

第7節 東日本大震災からの復興・再生に向けた自然共生社会づくりの取組

1 三陸復興国立公園の創設

(1)三陸復興国立公園に関する取組

 「三陸復興国立公園の創設を核としたグリーン復興のビジョン」(平成24年5月7日、環境省)に基づき、平成25年5月に三陸復興国立公園を創設し、11月にみちのく潮風トレイルの一部区間(八戸市蕪島から久慈市小袖の約100km)を開通したほか、岩手・宮城・福島県内の5つの地域を対象とした復興エコツーリズム推進モデル事業、地震・津波による自然環境への影響の把握と情報発信といったグリーン復興プロジェクトを推進しました。

(2)公園施設の整備

 三陸復興国立公園の主要な利用拠点において、防災機能を強化しつつ、被災した公園利用施設の再整備を推進しました。岩手県宮古市では、浄土ヶ浜の海岸遊歩道を復旧・再整備して平成25年7月に利用を再開し、宮城県気仙沼市では、気仙沼大島の海辺の利用拠点における高台避難路を整備しました。

2 東京電力福島第一原子力発電所の事故への対応

(1)野生動植物への影響のモニタリング

 東京電力福島第一原子力発電所の周辺地域での放射性物質による野生動植物への影響や、人間活動の減少による二次的な影響を把握するため、関係する研究機関とも協力しながら、植物の種子やネズミ等の試料の採取及び分析、定点カメラの設置等を進めました。また、関連した調査を行っている他の研究機関や学識経験者、海外の研究者とも意見交換を行いながら、今後のモニタリング方法の検討などを行いました。

(2)東日本大震災にかかる被災ペット対応

 震災発生以降、各自治体や緊急災害時動物救援本部(公益財団法人日本動物愛護協会、公益社団法人日本動物福祉協会、公益社団法人日本愛玩動物協会、公益社団法人日本獣医師会で構成)等と連携して被災ペットの救護を支援してきました。

 特に、福島県においては、東京電力福島第一原子力発電所の事故により、旧警戒区域内に多くのペットが取り残されたため、福島県等と協力し、被災ペットの保護活動等を実施しました。平成25年度は旧警戒区域内における被災ペットの生息状況調査等を行うとともに、保護したペットは福島県内の動物収容施設等で飼養管理を行いながら、元の飼い主への返還や新しい飼い主への譲渡を行っています。これまでの保護活動により、行政が旧警戒区域から保護した被災ペットは、犬458頭、猫544頭になり、このうち犬420頭、猫393頭が返還・譲渡されました(平成26年3月31日現在)。また、震災の教訓を踏まえて、災害時における被災動物の救護対策ガイドライン等を作成し、都道府県、政令市、中核市等に配布しました。