第4次レッドリストの公表に伴い、レッドリスト掲載種について解説したレッドデータブックについては、今後改訂作業を進め、平成26年度に公表する予定です。
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成4年法律第75号。以下「種の保存法」という。)に基づき、希少野生動植物種を指定し、個体の捕獲・譲渡し等の規制、器官・加工品の譲渡し等の規制を引き続き実施します。国内希少野生動植物種については、生息・生育状況を把握するための現状調査や、生息地等保護区の指定を推進し、生息・生育環境の保護管理を行うとともに、種の保存法に基づく保護増殖事業計画に基づき、野生生物保護センター等を中心として、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナ、アホウドリ、ミヤコタナゴ等の生息環境の改善・整備や繁殖の促進のための事業を進めます。また、国内希少野生動植物種に指定された種について、必要に応じて保護増殖事業計画を策定します。トキについては、今後とも野生復帰に向けて野生順化訓練と放鳥に関する事業を継続します。また、ツシマヤマネコについては、野生復帰の訓練等を行う野生順化施設の整備を進めます。チュウヒ等の希少な猛禽類等については、保護方策の調査・検討を引き続き行います。さらに、猛禽類の採餌環境の創出のための間伐の実施等、効果的な森林の整備・保全を行います。
また、絶滅危惧種の生息域外保全については、動物園、水族館及び植物園など関係者との連携を深めるとともに、「絶滅のおそれのある野生動植物種の生息域外保全に関する基本方針」や「絶滅のおそれのある野生動植物種の野生復帰に関する基本的な考え方」に沿って生息域外保全の取組を進めます。
「鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針」に基づき、鳥獣保護区の指定、被害防止のための捕獲及びその体制の整備、違法捕獲の防止等の対策を総合的に進めます。
鳥獣保護管理の担い手を育成するため、都道府県と連携し、狩猟免許取得に向けたフォーラムの開催や狩猟者等への研修事業及び鳥獣保護管理に係る人材登録事業を実施するほか、地域ぐるみでの捕獲を進めるモデル地域において、先進地づくりを進めます。
都道府県における特定鳥獣保護管理計画作成や保護管理のより効果的な実施のための検討を行うとともに、技術研修会を開催します。カワウについては、平成16年に作成した特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(カワウ編)の改訂を行います。
また、関東地域、中部近畿地域におけるカワウ及び関東山地のニホンジカについては広域協議会を、白山奥美濃地域のツキノワグマについては連絡会議を開催し、関係者間の情報の共有等を行うとともに、関東山地ニホンジカ広域協議会においては、実施計画に基づき、関係機関の連携の下、引き続き各種対策の実施を推進します。
希少鳥獣であるゼニガタアザラシによる漁業被害が深刻化しているため、種の保全に十分配慮しながら総合的な保護管理手法を引き続き検討します。
福島県の警戒区域において、生活環境の保全や帰還に向けた環境整備の円滑な実施のため、イノシシ等野生鳥獣の捕獲等の対策を行います。
適切な狩猟が鳥獣の個体数管理に果たす効果等にかんがみ、都道府県及び関係狩猟者団体に対し、事故及び違法行為の防止を徹底し、適正な狩猟を推進するための助言を行います。
渡り鳥の生息状況等に関する調査として、鳥類観測ステーションにおける鳥類標識調査、ガンカモ類の生息調査等を実施します。また、出水平野に集中的に飛来するナベヅル、マナヅルの保護対策として、生息環境の保全、整備を実施するとともに、越冬地の分散を図るための事業を実施します。
鳥獣の生息環境が悪化した鳥獣保護区の生息地の保護及び整備を図るため、ユルリ・モユルリ(北海道)、谷津(千葉県)、鳥島(東京都)、片野鴨池(石川県)、七ツ島(石川県)、浜甲子園(兵庫県)、漫湖(沖縄県)、大東諸島(沖縄県)において保全事業を実施します。
野生生物保護についての普及啓発を進めるため、愛鳥週間行事の一環として奈良県において「全国野鳥保護のつどい」を開催するほか、小中学校及び高等学校等を対象として野生生物保護の実践活動を発表する「全国野生生物保護実績発表大会」等を開催します。
防護柵等の被害防止施設の設置、効果的な被害防止システムの整備、捕獲鳥獣の食肉利用の促進等の対策を進めるとともに、鳥獣との共存にも配慮した多様で健全な森林の整備・保全等を実施します。
農山漁村地域において鳥獣による農林水産業等に係る被害が深刻な状況の中、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成19年法律第134号)に基づき市町村が作成する被害防止計画により、生息環境管理、被害防除、個体数調整の地域一体で取り組む対策を総合的に支援し、鳥獣被害対策の体制整備等を進めます。
近年、トドによる漁業被害が増大しており、トドの資源に悪影響を及ぼすことなく、漁業被害を防ぐための対策として、効果的な追い払い手法の実証試験及び被害を受ける刺し網等の改良等を促進します。
「野鳥における高病原性鳥インフルエンザに係る対応技術マニュアル」に基づき、高病原性鳥インフルエンザウイルス保有状況調査を全国で実施し、結果を公表します。さらに、平成17年度から行っている人工衛星を使った渡り鳥の飛来経路に関する調査を継続するとともに、国指定鳥獣保護区への渡り鳥の飛来状況についてホームページ等を通じて情報提供を行います。また、その他の感染症について情報把握・分析等を行い、対応を強化します。
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号)に基づく特定外来生物の輸入、飼養等の規制、防除事業を引き続き実施します。また、同法施行後5年後の法の施行状況の検討結果として、平成24年12月に中央環境審議会から主務大臣に対してなされた外来生物法の施行状況等を踏まえた今後講ずべき必要な措置についての意見具申も踏まえ、外来種被害防止行動計画(仮称)や侵略的外来種リスト(仮称)の作成等、所要の措置を講じます。さらに、外来種の適正な飼育に係る呼びかけ、ホームページ(http://www.env.go.jp/nature/intro/(別ウィンドウ))等での普及啓発を引き続き進めます。
カルタヘナ議定書を締結するための国内制度として定められた遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)に基づき、遺伝子組換え生物等の使用等の規制に関する措置を講じ、生物の多様性の確保を図ります。また、日本版バイオセーフティクリアリングハウス(日本版バイオセーフティクリアリングハウス(J-BCH)(別ウィンドウ))を通じて、法律の枠組みや承認された遺伝子組換え生物に関する情報提供を行うほか、遺伝子組換えナタネの生物多様性への影響監視調査などを行います。名古屋・クアラルンプール補足議定書について、関係省庁において、締結に向けた情報収集と検討を引き続き進めます。
動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)の改正を踏まえ、動物の愛護及び管理の施策を総合的に推進するための基本的な指針の見直しを行うとともに、政省令の改正や各種基準の見直しを進めます。また、改正法が円滑に施行されるよう、普及啓発ポスターやパンフレット等の作成、シンポジウムの開催等により、自治体や動物取扱業者、飼い主等にその内容を広く周知します。さらに、改正法を踏まえた子犬・子猫を親等から引き離す適切な時期に関する調査研究、マイクロチップ装着の義務付けに向けた研究開発や管理体制の検討に着手します。
ペットフードの安全性の確保においては、引き続き、ペットフードによる健康被害等について関係団体等と情報共有を図ることにより連携していきます。
農林水産分野では、農業生物資源ジーンバンク事業などにより、関係機関が連携して、動植物、微生物、DNA、林木、水産生物などの国内外の遺伝資源の収集、保存、評価等を行っており、植物遺伝資源22万点をはじめ、世界有数のジーンバンクとして利用者への配布・情報提供を行います。
また、新たに災害に強い保管施設等を整備し、公設試験研究機関や民間等、国内外の遺伝資源の安全な保存についても支援します。また海外から研究者を受け入れ、遺伝資源の取引・運用制度に関する理解促進や保護と利用のための研修等支援を行います。国内の遺伝資源利用者が海外の遺伝資源を円滑に取得するために必要な情報の収集・提供や、相手国等との意見調整の支援を行うとともに、途上国に対して遺伝資源の取引・運用制度に関する理解促進や遺伝資源の探索及び機能解析等に関する能力向上を図ろうとする取組を支援します。
独立行政法人製品評価技術基盤機構を通じた資源保有国との生物多様性条約の精神に則った国際的取組の実施などにより、資源保有国への技術移転、我が国の企業への海外の微生物資源の利用機会の提供などを引き続き行います。
我が国の微生物などに関する中核的な生物遺伝資源機関である独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源センターで、生物遺伝資源の収集、保存などを行うとともに、これらの資源に関する情報(分類、塩基配列、遺伝子機能などに関する情報)を整備し、生物遺伝資源とあわせた提供を引き続き行います。
第4節(1)を参照。
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