第5節 環境基準の設定及び水環境の効率的・効果的な監視等の推進


1 環境基準の設定等

水質汚濁に係る環境基準のうち、健康項目については、現在、カドミウム、鉛等の重金属類、トリクロロエチレン等の有機塩素系化合物、シマジン等の農薬など、26項目が設定されています。さらに、要監視項目(現在27項目)等、環境基準項目以外の項目の水質測定や知見の集積を行いました。
生活環境項目については、BOD、COD、溶存酸素量(DO)、全窒素、全りん、全亜鉛等の基準が定められており、利水目的から水域ごとに環境基準の類型指定を行っています。また、生活環境項目の設定から35年以上が経過していること等を踏まえ、今後の在り方に関して基礎的な調査を進めたほか、水環境を総合的にとらえ、水環境の健全性を示す指標について引き続き調査を行いました。
生活環境項目のうち、水生生物の保全に係る水質環境基準については、平成18年6月に初めて、北上川、多摩川、大和川、吉野川の4水域に係る河川及び湖沼の類型指定を行いました。

2 公共用水域等の監視測定体制の整備

水質汚濁防止法に基づき、国及び地方公共団体は公共用水域及び地下水の水質の常時監視を行っています。平成17年度から、地方公共団体の常時監視に対する助成が廃止されたこと等を踏まえ、水質常時監視効率化・的確化に資する具体的な評価手法や基準のあり方について検討を行っています。
これに加えて、河川管理者の立場から、全国一級河川の主要な地点において、水質汚濁状況を把握するため、水質の測定を実施しました。また、全国の一級河川の主要な水域は、水質自動監視測定装置を設置しテレメーター化を図り、水質の集中監視を実施しています。
排水の監視については、水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長は、工場・事業場の排水基準の遵守状況を監視するため、必要に応じ工場・事業場に報告を求め又は立入検査を行っています。これらの監視行為に基づき、都道府県知事及び政令市長は、改善命令等の必要な行政措置を工場・事業場に行っています。また、各自治体による立入検査のより一層の重点化・効率化を図るため、最近の事案やこれまでの知見を踏まえ、平成18年4月に「水質汚濁防止法に基づく立入検査マニュアル策定の手引き」を作成しました。
クロロホルムをはじめとする27項目の要監視項目については、都道府県等において地域の実情に応じ、公共用水域等の水質測定が行われています。


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