第4節 環境保全上健全な水循環の確保
1 水環境に親しむ基盤作り
関係機関の協力の下、一般市民の参加を得て全国水生生物調査(水生生物による水質調査)を実施しました。平成17年度の参加者は85,910人となりました。
また、平成18年6月4日を中心に、全国のおよそ5,000地点で約1,000の市民団体と協働して、身近な水環境の一斉調査を実施し、その結果を分かりやすく表示したマップを作成しました。
河川水質を、人と河川の豊かなふれあいの確保、豊かな生態系の確保、利用しやすい水質の確保、下流域や滞留水域に影響の少ない水質の確保、の4つの視点で総合的に分かりやすく評価する新しい指標に基づき、平成18年度に全国109水系で一般市民の参加を得て、調査を実施しました。
また、子どもたちのホタルに関連した水環境保全活動(「こどもホタレンジャー」)を募集し、平成18年度は、福島県のいわき市立高野(こうや)小学校、和歌山県の広川町立津木(つぎ)中学校の活動に対して環境大臣表彰を行いました。
平成18年9月には、「名水百選」の一つである洞川(どろがわ)湧水群がある奈良県天川村において『名水サミット「てんかわ」』を開催し、水環境の保全の推進と水質保全意識の高揚を図りました。
水と親しむことのできる貴重な水辺である水浴場について、従来からの水質や交通の便等に加え、環境教育や水生生物など、より幅広い観点を含めて評価し、「快水浴場(かいすいよくじょう)百選」を選定しました。
また、新世代下水道支援事業制度水環境創造事業により、下水処理水等を活用したせせらぎ水路等の整備を行いました。
2 環境保全上健全な水循環の確保
環境保全上健全な水循環機能の維持・回復を図るため、森林については、森林計画制度に基づき、育成複層林施業等による森林の整備を通じて保水能力の高い森林の育成に努めるなど適切な維持管理を進めました。また、雨水の貯留や地下水かん養等を通じた水循環の調整能力を有する水田等の農地の適切な維持管理を進めました。
河川等においては、水質、水量、水生生物、水辺地などの保全を進めるため、れき等を利用した浄化水路等の整備を行い、河川、湖沼等の自然浄化能力の維持・回復を図りました。また、特に水質汚濁の著しい場合は「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスII)」に基づき、市町村や地域住民等の取組と一体となって、河川事業、下水道事業を重点的に実施しました。また、ダム直下流の無水区間の解消等を行う「水系環境整備事業」などを実施し、本来の川の姿を目指して清流回復を図りました。このほか、流域別下水道整備総合計画等の水質保全に資する計画の策定の推進に加え、下水道法施行令等の規定や、下水処理水の再利用の際の水質基準等マニュアルに基づき、適切な下水処理水等の有効利用を進めるとともに、雨水の貯留浸透や再利用を推進しました。海域においては、自然海岸、干潟、藻場、浅海域の適正な保全を推進するとともに、自然浄化能力の回復に資するよう、海岸環境整備事業、港湾環境整備事業等により人工干潟・海浜等を適切に整備しました。
「健全な水循環系構築に関する関係省庁連絡会議」では、健全な水循環系の構築のため、継続的に情報交換、調査、研究の実施及び施策相互の連携・協力の推進を図りました。
また、「琵琶湖・淀川流域圏の再生」(都市再生プロジェクト第6次決定)については、関係省庁及び地方公共団体等から成る「琵琶湖・淀川流域圏再生推進協議会」において、再生計画の具体的な展開を図るため、分野・テーマごとに行政機関で協議・調整を行うなど、流域圏全体で一体的・総合的に施策を推進しました。