3 事業活動への環境配慮の組み込みの推進
(1)環境マネジメントシステム
環境マネジメントシステムの要求事項を定めた国際規格であるISO14001及びこれを翻訳した日本工業規格JISQ14001について、この情報提供等を行うとともに中小企業への環境マネジメントシステムの普及を図るため、環境マネジメントシステム構築融資制度により、事業者のISO14001認証取得及びそれに伴う環境対策投資を支援しました。また、全国各地で講習会を開催しました。平成18年2月末現在、国内のISO14001審査登録件数は20,079件となり、世界で最も取組が進んでいます(図7-3-2)。
(2)環境パフォーマンス評価
事業者が環境関連データを自主的・積極的に収集し、環境パフォーマンス指標等の形で活用する状態を創出するには、これらのデータを収集・管理することの効用や効果を明確に示すことが必要です。このため、「事業者の環境パフォーマンス指標ガイドライン―2002年度版―」による普及を引き続き行いました。
(3)環境会計
事業者による効率的かつ効果的な環境保全活動の推進に資する環境会計システムの確立に向けて、平成17年2月に改訂した「環境会計ガイドライン2005年版」による環境会計の普及促進に努めました。また、企業経営に役立つ環境管理会計手法の研究を実施し、報告書を取りまとめました。さらに、環境会計の国際動向を把握するため、国連持続可能開発部環境管理会計専門家会合(UNDSDEMA−EWG)などの国際的な議論に積極的に参画しました。
(4)環境報告書
さまざまな事業者による環境報告書の作成、公表を促進するため、「環境報告書ガイドライン(2003年度版)」により環境報告書の普及促進を引き続き行いました。このほか、環境コミュニケーション大賞による表彰や環境コミュニケーションシンポジウムの開催、インターネット上に開設した環境報告書のデータベースの運用などにより、環境報告書への取組支援を実施しました。
また、環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(平成16年法律第77号。以下「環境配慮促進法」という。)が平成17年4月から施行されたことを踏まえ、主として環境報告書の作成・公表に初めて取り組む事業者、あるいは環境報告書の作成・公表に取り組んで間もない事業者のために「環境報告書の記載事項等に関する手引き」を策定しました。また、環境報告書ガイドラインを参考に作成された環境報告書を対象に、その信頼性について自己評価を行うための「環境報告書の自己評価に関する手引き」を策定しました。
さらに、環境配慮促進法について、特定事業者を対象とした説明会を全国2か所で開催したほか、まだ環境報告書を作成・公表していない民間事業者を対象とした説明会を東京で開催しました(図7-3-3)。
(5)中小企業の取組の促進
「エコアクション21」(環境活動評価プログラム)(平成8年策定。16年改訂。)について、引き続きその普及に努めました。また、エコアクション21よりさらに小規模の事業者向け支援ソフトウェアである「環境大福帳」(平成16年公表)についても、引き続き普及促進を図りました。さらに、エコアクション21や環境大福帳の普及促進を担う人材を育成するための「指導者講習会」を全国4か所で実施しました。また、運輸関係企業に多い中小規模の事業者においても自主的に環境保全の取組が推進できるように、従来のトラック・バス・タクシー事業者に加え、平成17年7月より旅客船、内航海運、倉庫及び港湾運送の事業者のグリーン経営認証制度を開始しました。
(6)公害防止管理制度
工場における公害防止体制を整備するため、特定工場における公害防止組織の整備に関する法律(昭和46年法律第107号)によって一定規模の工場に公害防止に関する業務を統括する公害防止統括者、公害防止に関して必要な専門知識及び技能を有する公害防止管理者等の選任が義務付けられており、約2万の特定工場において公害防止組織の整備が図られています。
同法に基づく公害防止管理者等の資格取得のために国家試験が、昭和46年度以降毎年実施されており、平成17年度の合格者数は7,376人、これまでの延べ合格者数は29万9,663人です。
また、国家試験のほかに、一定の技術資格を有する者又は公害防止に関する実務経験と一定の学歴を有する者が公害防止管理者等の資格を取得するには、資格認定講習を修了する方法があり、平成17年度の修了者数は3,194人、これまでの修了者数は24万6,392人です。