2 環境配慮型製品の普及等
(1)グリーン購入の推進
国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号。以下「グリーン購入法」という。)は、国等の各機関(国や独立行政法人等の公的機関)による環境物品等(環境への負荷の低減に資する物品又は役務)の調達の推進、情報提供の充実などにより、環境物品等への需要転換を促進することを目的としています。国等の各機関は、環境保全という公益実現に責任を有するとともに、国民経済の中で大きな購入主体であることから、率先して環境物品等の調達を進めることにより、これを呼び水として日本全体の需要を環境物品等へ転換していくことが期待されます。
グリーン購入法の仕組みについては、図7-3-1のとおりです。国等の各機関では、基本方針に即して平成16年度の環境物品等の調達方針を定めて公表し、これに基づいて環境物品等の調達を推進しました。また、15年度の調達方針に基づき調達を実施した結果として調達実績を取りまとめ、公表しています。
基本方針に定められた、国等の各機関が特に重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類である特定調達品目及びその判断の基準等については、その開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜品目の追加・見直しを行っていくこととしています。平成16年度においても17年2月に基本方針の変更(変更後、特定調達品目は17分野201品目)について閣議決定しました。
地方公共団体については、毎年度、環境物品等の調達方針を作成して調達を行うよう努めることが定められているところであり、平成15年度においては、ほとんどすべての都道府県、政令指定都市が調達の方針を作成してグリーン購入に取り組んでいます。その取組をさらに促すため、前記の基本方針の変更について、地方公共団体を対象とした説明会を全国10か所において開催しました。
グリーン購入の推進のためには、各地域において行政、地元の事業者、住民等によるネットワークが組織されることが重要です。そこで、グリーン購入地域ネットワークの構築を推進するために、地方公共団体、消費者、事業者等に対し、情報提供や啓発のためのセミナーを開催しました。また、環境物品等の情報を購入者に提供するため、製造者等によるグリーン購入法の特定調達物品(基本方針の判断の基準を満たす物品)に関する情報の提供の場として「グリーン購入法特定調達物品情報提供システム」を運用し、随時更新しています。さらに、各主体のさらなるグリーン購入への取り組みを推進するため、さまざまな団体のグリーン購入に関する情報を紹介する「グリーン購入取り組み事例データベース」の運用を新たに平成16年6月から開始しました。
(2)環境ラベリング
消費者が環境負荷の低い製品を選択する際に適切な情報を入手できるように、環境ラベルその他の手法による情報提供を進めています。日本唯一のタイプI環境ラベル(ISO14024準拠)であるエコマーク制度ではライフサイクルを考慮した指標に基づく新しい商品類型を整備しています。平成17年3月末現在、エコマーク対象商品類型数は43、認定商品数は5,007となっています。
また、事業者の自己宣言による環境主張であるタイプII環境ラベルや民間団体が行う環境ラベル等の情報提供制度を整理、分析して提供する「環境ラベル等データベース」をインターネットのホームページ上に開設し、随時更新しています。
さらに、購入者に対して製品やサービスの環境情報を定量的に開示するタイプIII環境ラベルであるエコリーフの普及を進めています。平成17年3月末現在のラベル公開数は、234件となっています。
また、環境物品を国際的に流通させてグリーン購入の取組を推進するためには、各国の環境ラベル制度における基準の共通化等が必要であるため、我が国のエコマークを中心に、各国環境ラベル間の相互認証に関する調査・分析を行いました。
(3)標準化の推進
日本の標準化機関である日本工業標準調査会(JISC)は、平成14年4月に策定した「環境JISの策定促進のアクションプログラム」を15年4月及び16年3月に改定し、環境JISの推進に取り組んでいます。
平成16年度は、「スラグ類の化学物質試験方法」、「コンクリート用再生骨材H」等、33件のJISの制定・改正(平成14〜15年度で90件)を実施しました。
(4)ライフサイクルアセスメント(LCA)
製品やサービスに関して、投入される資源、エネルギー量と生産される製品及び排出物のデータ収集、定量化などを行うインベントリ分析や、インベントリ分析の結果を各種環境影響カテゴリーに分類し、それを使用して環境影響の大きさと重要度を分析するインパクト評価の手法などライフサイクルアセスメントの手法を調査、研究してきました。その成果を踏まえ、商品やサービスに起因する環境負荷をライフサイクル的視点から定量化し、その結果を分かりやすく消費者に提供する「商品環境情報提供システム」を構築しました。