湿原、河川、湖沼、干潟等の湿地は、多様な動植物の生息・生育地として重要な場です。しかし、これらの湿原や干潟などは全国的に減少・劣化の傾向にあるため、その保全の強化と、既に失われてしまった湿地の再生・修復の手だてを講じることが必要となっています。
保全の取組として、鳥類の保護上重要な湿地である国指定中海鳥獣保護区について、新たに特別保護区を指定するとともに、国指定藤前干潟鳥獣保護区において、湿地に対する理解を深めるために環境教育・学習施設の整備を進めました。また、国指定谷津干潟鳥獣保護区について、異常繁殖したアオサの除去を実施するなど、保護区内の環境の維持管理を図りました。
既に失われた湿地の再生の取組として、平成15年10月に定めた社会資本整備重点計画においては、失われた湿地や干潟のうち回復可能な湿地や干潟について19年までに3割回復する等、具体的な数値目標を設定し、これに取り組むこととしています。
ウミガメの産卵地となる海浜については自然公園法に基づく乗入れ規制地区等に指定して保護を図りました。
また、「生態系多様性調査(浅海域生態系調査)」で全国の干潟及び藻場の調査を、「海辺の生物国勢調査」で砂浜を中心とする海浜部の生物の生息・生育状況の実態等を調査しています。なお、ウミガメの回遊等の生態を解明するため、人工衛星での行動追跡調査等を実施しました。さらに、有明海・八代海における海域環境調査、東京湾における水質等のモニタリング、海洋短波レーダーを活用した生物調査、水産資源に関する調査や海域環境情報システムの運用等を行っています。
また、日本のサンゴ礁の現状及びその保全の取組に関する最新の知見を集大成した書籍『日本のサンゴ礁』を発行したほか、保全地域の選定に関する調査研究を実施しました。