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第4節 里地里山の保全と持続可能な利用

 里地里山は、二次林を中心に水田等の農耕地、ため池、草地等を構成要素としており、人為による適度なかく乱によって里地里山特有の環境が形成・維持され、固有種を含む多くの野生生物を育む地域となっています。
 しかしながら、近年の生活・生産様式の変化に伴い、二次林や草地の経済的利用価値が低下したことに加え、いわゆる農山村では、農林業の採算性の低下、林業生産活動の停滞等から二次林や農地が放置されるケースが増加しています。放置後は、タケ・ササ類の侵入等により生物多様性が低下する場合があります。都市地域の近郊では、残された二次林等が宅地、道路、廃棄物処理場等の開発の対象となる場合が多く見られるなど、里地里山の存続が危惧されています。これらの背景には、土地所有者が継続的維持管理に耐えられないことなどの理由により、二次林、農地等を手放すという事情もあります。
 このような課題に対して、里地里山の保全と持続的利用を将来にわたって進めていくためには、人の生活・生産活動と地域の生物多様性保全とが上手に調整されるようなシステムがそれぞれの地域において必要です。
 このため、さまざまな視点からの制度作りが進められています(表6-4-1)。



 法制度における取組については、平成16年5月に、文化財保護法が改正され、地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で、国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないものである文化的景観を新たに文化財として位置付け、その保護を図ることが盛り込まれました。また、同月には、都市緑地保全法が都市緑地法(昭和48年法律第72号)に改正され、これまでの現状凍結的に緑の保全を図る緑地保全地区制度に加え、土地所有者等による一定の土地利用との調整を図りながら、緑地の保全を図ることを可能にする緑地保全地域制度が新たに創設されました。
 各種計画については、農村地域の環境保全に関する田園環境整備マスタープランについては、2,456市町村(平成16年3月現在)が、樹林地、草地、水辺地等、良好な自然環境を形成している緑地の適正な保全と緑化の推進に関してその目標や講ずる施策を定める緑の基本計画については、624市町村(16年3月末現在)が策定を終えました。
 事業面については、里地里山保全・再生モデル事業調査、田園自然環境保全整備事業、緑地環境整備総合支援事業が平成16年度から実施されるとともに、森林整備事業や治山事業をはじめ、NPO等の多様な主体の参加による森林づくりや利用活動、竹材の利用の推進等による里山林再生総合対策が実施されました。
 都市緑地法や自然公園法においては、管理が行き届かなくなった里地里山において、NPO等の多様な主体が土地所有者と管理協定を結んで維持管理を行うことができる制度を設けており、自然公園法に基づくものとして2団体が取組を行っています。また、森林法を改正し、NPO等と森林所有者とが結ぶ施業の実施に関する協定について市町村長が認可する制度を創設し、この認可を受けたNPO等を森林整備事業の事業主体とする制度の改正が行われました。

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