3 自然環境保全調査の推進
(1)自然環境保全基礎調査
第6回基礎調査では、新たに種の多様性調査、植生調査、生態系多様性調査(浅海域生態系調査)等に取り組み、最終年度の平成16年度は、種の多様性調査のうち哺乳類生息分布調査、鳥類生息分布調査を取りまとめました。なお、従来は植生原図の作成に縮尺5万分の1の地形図を用いていましたが、第6回基礎調査からは新たに縮尺2万5千分の1の地形図を用いた作成を始め、16年度末時点で全国の約3割の作成が終了しています。(表6-1-3)
また、沿岸域の生物相を把握するため、「生態系多様性調査(浅海域生態系調査)」で全国の干潟及び藻場の調査を実施しており、調査結果は順次ホームページで公開しています(干潟調査http://www.higata-r.jp/、藻場調査http://www.moba-r.jp/)。また、砂浜を中心とする海浜部の生物の生息・生育状況の実態の把握と生息・生育基盤環境に関する情報取得のためには「海辺の生物国勢調査」を平成15年度から実施しています。
(2)モニタリングサイト1000
全国の自然環境の変化を把握するため、基礎調査に加え、全国の生態系を長期的にモニタリングする「モニタリングサイト1000」という調査について、平成15年度から5年間の予定で調査箇所の設定と調査を開始しました。調査サイトは、森林、里地、湖沼、湿地、河川、海岸のさまざまな生態系を網羅するように1000か所程度を目安に配置していきます。16年度は、生態系のタイプごとに調査項目を設定して試行調査を始めました。
(3)自然環境調査における各省庁連携
各事業法において環境への配慮等が規定されるにつれ、各省庁が実施する生物調査についても充実しつつあり、表6-1-3に示すように、各省庁の調査を加えると調査箇所数が数千を超えるものもあります。しかし、調査データについての連携はとられておらず、調査データの相互利用の検討等を行う枠組みの整備が必要です。このため、平成15年度に設置された環境省自然環境局、農林水産省農村振興局、林野庁森林整備部、国土交通省河川局、同港湾局からなるワーキンググループを引き続き開催しました。各省庁の生物調査データはGIS情報として使用可能なことを基本としており、16年度はGISデータとして相互に利用可能かどうかを検証するため、岡山県南部を対象に試行的に関係省庁のデータの整理を進めました。