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第6節 

2 鳥獣の保護管理の推進

(1)鳥獣保護事業と鳥獣に関する調査研究の推進
 鳥獣保護事業計画に基づき、鳥獣保護区の指定、有害鳥獣駆除及びその体制の整備、違法捕獲の防止等の対策を総合的に推進します。当該計画の推進に当たっては、人と鳥獣との共存の確保及び、生物多様性の保全を踏まえて鳥獣を適切に保護管理することを基本とします。国指定鳥獣保護区においては、保護管理方針を示すマスタープランを策定し、管理の充実に努めます。
 鳥獣の生息状況等に関する調査については、「鳥類観測ステーション」における標識調査、ガンカモ科鳥類の生息調査、シギ・チドリ類の定点調査等渡り鳥の生息状況調査等を引き続き実施します。また、個体群の保護に支障が生じる可能性のあるツキノワグマやニホンザル等の鳥獣の捕獲等後の流通に関する問題点を把握するための調査を実施するとともに、全国的・広域的な観点から保護管理の方向付けを行う必要性の高い鳥獣について、保護管理のための指針作りに着手します。

(2)適正な狩猟の推進と農林漁業被害の防止対策
 狩猟による事故防止、違法行為の防止の徹底等適正な狩猟を確保するための関係者への指導を行うとともに、狩猟鳥獣の種類の見直し、捕獲禁止又は狩猟制限の見直しに必要な調査・検討を進めます。
 農林業被害の著しい地域において、環境省、農林水産省、林野庁が連携して鳥獣被害対策連絡会議等を引き続き実施します。この中で、特定鳥獣保護管理計画等による鳥獣の保護管理手法を普及・定着させるための「野生鳥獣保護管理適正化事業」を実施するとともに、全国的・広域的に見て、近年、個体数分布が増加し、農林水産業等に被害を与えている鳥獣に関する保護管理の方針を検討します。また、新たな技術を有する鳥獣管理の中核的な担い手を育成し、将来にわたる鳥獣管理体制の構築を図るため、「野生鳥獣管理技術者育成事業」を実施します。さらに、都道府県の特定鳥獣保護管理計画による保護管理状況の実態を調査・分析するほか、鳥獣の全国的な生息状況等の動向を把握するため、大型哺乳類の生息分布等の調査を実施します。
 鳥獣を適正に管理し、農林業被害を軽減する農林生態系の管理技術の開発等の試験研究、防護柵等の被害防止施設の設置、効果的な被害防止システムの整備及び捕獲・追い払いのための自衛体制の整備等を促進するとともに、農林漁業被害防止に必要な知識の普及等の対策を推進し、鳥獣との共生にも配慮した多様な森林の整備等を図る事業等を実施します。また、トドの資源に悪影響を及ぼすことなく、被害を防ぐための対策として、被害を受ける定置網の高度強化等を引き続き促進します。

(3)渡り鳥の保護対策の推進
 渡り鳥の保護対策としては、生息状況調査を引き続き実施するほか、出水平野に集中的に飛来するナベヅル、マナヅルについて、その生息環境を改善し、周辺への農業被害を軽減するために遊休地の確保等の事業を引き続き実施します。また、渡り鳥の渡来地である干潟の保全と環境学習等の活用のための拠点施設を国指定藤前干潟鳥獣保護区において引き続き整備します。

(4)鳥類の鉛中毒事故の防止対策
 地域を指定しての鉛弾の使用禁止及び無毒の代替弾への切り替え等の措置を引き続き推進するとともに、指定猟法禁止区域制度について、新たな指定を促進します。

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