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第3節 

2 環境配慮型製品の普及等

(1)グリーン購入の推進
 グリーン購入法は、環境物品等への需要転換を促進するため、国等の各機関(国や独立行政法人等の公的機関)による環境物品等(環境への負荷の低減に資する物品又は役務)の調達の推進、情報提供その他環境物品等への需要転換を促進するため、必要な事項を定めることにより、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を図ることを目的としています。国等の各機関は、環境保全という公益実現に責任を有するとともに、国民経済の中で大きな購入主体であることから、率先して環境物品等の調達を進めることにより、これを呼び水として日本全体の需要を環境物品等へ転換していくことが期待されます。
 グリーン購入法の仕組みについては、図7-3-1のとおりです。国等の各機関では、基本方針に即して平成15年度の環境物品等の調達方針を定めて公表し、これに基づいて環境物品等の調達を推進しました。また、平成14年度の調達方針に基づき調達を実施した結果として調達実績を取りまとめ、公表しています。



 基本方針に定められた、国等の各機関が特に重点的に調達を推進すべき環境物品等の種類である特定調達品目及びその判断の基準等については、その開発・普及の状況、科学的知見の充実等に応じて適宜品目の追加・見直しを行っていくこととしています。平成15年度においても特定調達品目に関して募集した提案を参考とするなどにより検討を実施し、16年3月に基本方針の変更(変更後、特定調達品目は16分野199品目)について閣議決定しました。
 地方公共団体については、毎年度、環境物品等の調達方針を作成して調達を行うよう努めることが定められているところであり、平成14年度までに全ての都道府県、政令指定都市が調達の方針を作成してグリーン購入に取り組んでいます。その取組をさらに促すため、前記の基本方針の変更について、地方公共団体を対象とした説明会を全国12か所において開催しました。
 また、さらなるグリーン購入の推進のためには、各地域において行政、地元の事業者、住民等によるネットワークが組織されることが重要です。そこで、地方公共団体、消費者、事業者等に対し、グリーン購入地域ネットワークの構築を推進するために、情報提供や啓発のためのセミナーを開催しました。また、グリーン購入の実施のためには、その前提として、製造者等によるグリーン購入法の特定調達物品(基本方針の判断の基準に適合する物品)に関する情報の提供の場としての「グリーン購入法特定調達物品情報提供システム」を運用し、随時更新しています。

(2)環境ラベリング
 消費者が環境負荷の低い製品を選択する際に適切な情報を入手できるように、環境ラベルその他の手法による情報提供を進めています。日本唯一のタイプI環境ラベル(ISO14024準拠)であるエコマーク制度ではライフサイクルを考慮した指標に基づく新しい商品類型を整備しています。平成16年3月末現在、エコマーク対象商品類型数は54、認定商品数は5,646となっています。
 また、事業者の自己宣言による環境主張であるタイプII環境ラベルや民間団体が行う環境ラベル等の情報提供制度を整理、分析して提供する「環境ラベル等データベース」をインターネットのホームページ上に開設し、平成14年8月に本格運用し随時更新しています。
 さらに、購入者に対して製品やサービスの環境情報を定量的に開示するタイプIII環境ラベルであるエコリーフの普及を進めています。平成16年3月末現在のラベル公開数は、129件となっています。
 また、日本のエコマーク、アメリカのグリーンシールなどの世界のエコラベルの実施機関が情報交換、基準の国際調和に向けた検討等のために設立した「世界エコラベリングネットワーク」に対し、情報交換等が円滑に実施されるよう、各国のエコラベルの化学物質データベース構築を通じ支援を行いました。

(3)標準化の推進
 日本の標準化機関である日本工業標準調査会(JISC)は、平成14年4月に策定した「環境JISの策定促進のアクションプログラム」を15年4月及び16年3月に改定し、環境JISの推進に取り組んでいます。
 平成15年度は、「鉛フリーはんだ試験方法」、「ポルトランドセメント」、「鉛・クロムフリーさび止めペイント」等、32件のJISの制定・改正(平成14年度は58件)を実施しました。

(4)ライフサイクル・アセスメント(LCA)
 製品やサービスに関して、投入される資源、エネルギー量と生産される製品及び排出物のデータ収集、定量化などを行うインベントリ分析や、インベントリ分析の結果を各種環境影響カテゴリーに分類し、それを使用して環境影響の大きさと重要度を分析するインパクト評価の手法などライフサイクルアセスメントの手法を調査、研究してきました。その成果を踏まえ、LCAの結果を消費者が活用し「環境に配慮した製品購入」に結びつけるための情報提供の手法について、検討を行いました。

(5)環境適合設計
 製品やサービスの設計段階において、その製造から廃棄までのライフサイクル全般にわたる環境負荷を捉え、製品の長寿命化なども視野においた環境負荷の低減を図ろうとする環境適合設計については、国際的な規格としてISO/TR14062が発行され、JIS制度を補完する制度として創設された標準情報制度の中でその翻訳版を公表しました。

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