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第3節 

1 経済的措置

(1)経済的助成
ア 環境保全事業の助成
(ア)環境事業団による助成
 環境事業団では、共同福利施設、大気汚染対策緑地、地球温暖化対策緑地の建設譲渡事業、地球環境基金による民間団体への環境保全活動に対する助成その他の支援事業を実施しました。
 平成15年度の建設譲渡事業に係る事業計画額は、51億円、また、地球環境基金事業を実施するため、環境事業団補助金として8億円を予算措置しました。
(イ)その他の政府関係機関等
 その他の政府関係機関等による環境保全事業の助成については、表7-3-1のとおりでした。



イ 税制上の措置等
 平成15年度税制改正においては、再商品化設備等に係る特別償却制度及び事業所税の課税標準(課税される物件の金額・価額・数量等をいう。)の特例措置(主に軽減措置を意味する。)の対象設備への自動車破砕残さ再資源化施設の追加、PFI選定事業者が政府の補助を受けて設置する一般廃棄物処理施設の用に供する家屋に係る固定資産税及び不動産取得税等の課税標準の特例措置、試験研究費総額の一定割合の税額控除、認定NPO法人に係る認定要件の緩和などが講じられました。

(2)経済的負担
ア 基本的考え方
 環境への負荷の低減を図るために経済的負担を課す措置については、その具体的措置について判断するため、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出抑制、廃棄物の抑制などその適用分野に応じ、これを講じた場合の環境保全上の効果、国民経済に与える影響及び諸外国の活用事例等につき、調査・研究を進めました。
イ 具体的な取組事例
 平成15年度においては、経済的措置の検討が深められた事例として以下のようなものがあります。
(ア)政府における環境関連税の検討状況
 政府税制調査会は、平成15年6月の「少子・高齢社会における税制のあり方(中期答申)」において、環境問題に対する税制面の対応について、国民に広く負担を求めることになる問題であり、国民の理解と協力が得られることが不可欠との認識に立ちつつ幅広い観点から検討していくこととしています。この中では、「特に、地球温暖化問題については、規制的手法、自主的取組、税制以外の経済的手法の活用に加えて、税制を活用することの必要性について広く議論が求められる」とされています。
 平成13年10月に設置された中央環境審議会の地球温暖化対策税制専門委員会では、温暖化防止のための税制について検討を行い、15年8月には「温暖化対策税制の具体的な制度の案〜国民による検討・議論のための提案〜(報告)」を公表しました。
 また、これを受け、中央環境審議会の下に施策総合企画小委員会を設置し、平成15年12月から、地球温暖化防止のための税制及びこれに関連する施策についての総合的な検討を開始しました。
(イ)地方公共団体における環境関連税導入の動き
 平成12年4月の「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)の施行により「地方税法」(昭和25年法律第226号)の一部が改正され、法定外普通税の許可制から同意制への移行、法定外目的税制度の新設など、地方公共団体の課税自主権の強化が図られました。
 これを受け、各地方公共団体において環境関連税の導入の検討が進められています。
 特に、産業廃棄物の排出量又は処分量を課税標準とする税について、これまで12の地方公共団体で条例が制定され、このうち9団体で施行されました。税収の使途については、主に産業廃棄物の発生抑制、再生、減量、その他適正な処理に係る施策に要する費用に充てられています。
 また、高知県では全国に先駆け、平成15年4月に森林環境の保全を目的とした森林環境税が施行されました。この税は、県民税均等割の額に500円を加算し、その税収を森林整備等に充てるために、森林環境保全基金を条例により創設して、実質的に目的税の性格を持たせたものとなっています。

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