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第10節 

3 砂漠化への対処

(1)問題の概要
 砂漠化とは、乾燥地域、半乾燥地域等における土地の劣化のことです。これには、土地の乾燥化のみならず、土壌の浸食や塩性化、植生の種類の減少等も含まれます。
 砂漠化の影響を受けている土地は、世界の陸地の4分の1にあたる36億haに達します。これは、乾燥地域、半乾燥地域等における耕作可能地の7割に相当します。そして、世界人口の6分の1にあたる9億の人々が砂漠化の影響を受けています(図6-10-2)。



 砂漠化の原因として、干ばつ等の自然現象のほか、過放牧、過度の耕作、過度の薪炭材採取、不適切な灌漑による農地への塩分集積等が挙げられます。その背景には、開発途上国における貧困、人口増加、対外債務の増加等の社会的・経済的要因が絡んでいます。

(2)対策
 「砂漠化対処条約」の下で、国際的な努力が進められています。日本は平成10年に同条約を受諾しました。
 平成15年6月に開催された第2回アジア地域閣僚級会合では、「2003〜2008年のアジア地域行動計画の優先活動」等が決議されました。また、同年8〜9月に開催された第6回締約国会議では、地球環境ファシリティ(GEF)を同条約の資金メカニズムに加えること等が決議されました。
 日本は、同条約により設けられている科学技術委員会へ貢献するため、砂漠化の早期警戒の方法等について検討しています。平成16年2月には日本でアジア地域の専門家会合を開催し、砂漠化の基準・指標、モニタリング・評価、早期警戒の方法等について議論を行いました。
 また、同条約に基づくアジア地域行動計画の一環として、テーマごとに情報交換等を目的としたネットワーク作り(TPN)等が進められており、日本は「砂漠化のモニタリングと評価」をテーマとし中国をホスト国とするTPN1及び「干ばつの影響緩和と砂漠化の制御のための能力強化」をテーマとしモンゴルをホスト国とするTPN5に参加しています。
 さらに、平成7〜14年度にアフリカのブルキナファソにおいて地下水の有効利用を目的とした地下ダムの実証試験を行ったところであり、その成果を踏まえて、平成15年12月に同国において技術移転のための説明会を開催しました。
 このほか、二国間協力として、国際協力機構(JICA)等を通じ、農業開発、森林保全・造成、水資源保全等のプロジェクト等を実施しました。例えば、ブルキナファソにおいて砂漠化に対処するための農村開発の調査を実施しました。民間部門の活動に関しては、アフリカや中国で植林等の砂漠化対処活動を行っている民間団体に対し、環境事業団の地球環境基金等により支援が行われました。

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