前のページ 次のページ

第9節 

2 利用のための施設の整備

(1)国立・国定公園等の利用施設
 国立・国定公園の核心となる特にすぐれた自然景観を有する広域な地域において、自然の保全や復元のための整備を一層強化するとともに、高度な自然学習や自然探勝のためのフィールドの整備(緑のダイヤモンド計画)を雲仙天草国立公園雲仙地域等3地域において整備を進めました。
 国立・国定公園のすぐれた自然環境を有する集団施設地区及びその周辺地域で、自然環境を保全するとともに、時代に即した滞在型、高齢者・障害者対応型の公園利用を推進し、地域の再活性化を図るための総合的な施設の整備(自然公園利用拠点新活性化事業)を、日光国立公園那須地域等3地域において進めました。
 国立・国定公園において、大自然の中での暮らし、学び、冒険を通じて自然や地域との共生を体験するための参加・自主活動型の自然教育の拠点(ふれあい自然塾)を、玄海国定公園満越地区において整備を進めました。
 国立・国定公園の主要利用拠点において、子どもたちが生き物や自然の植生などとふれあい自然を学ぶことができる、自然ふれあい体験のための中核施設(エコ・ミュージアム)の整備を、霧島屋久国立公園えびの地区ほか4地域において進めました。
 自然公園等において、二酸化炭素の吸収源・貯蔵庫となる植生の復元、ソーラーや自然エネルギーを利用した地球環境にやさしい施設の整備(環境共生推進特別整備事業)を推進しました。
 国立・国定公園において、自然環境の保全に配慮しつつ、自然とのふれあいを求める国民のニーズにこたえ、安全で快適な利用を推進するため、歩道、野営場、園地、公衆トイレ等利用の基幹となる施設を整備しました。特に、公衆トイレや野営場のうち、緊急に改善を要する施設についての再整備を引き続き実施しました。

(2)ふるさと自然ネットワーク
 トンボやホタルなどの小動物が生息する身近な自然環境を保全活用し、生き物とふれあい自然の中で憩い自然の中に滞在・体験しながら自然を学ぶことのできる場づくりを推進しています。多様なメニューの中から地域のニーズにマッチした事業(1)ふるさといきものふれあいの里、2)ふるさと自然のみち、3)ふるさと自然塾、4)ふれあい・やすらぎ温泉地、5)ふるさと自然公園国民休養地)を選定し、整備するものです。
 平成15年度は、13か所において整備を実施しました。

(3)長距離自然歩道等
 自然公園や文化財などを有機的に結ぶ長距離自然歩道の整備、登山者の集中による植生荒廃等を招いている地域の登山歩道の整備を進めています。長距離自然歩道は、四季を通じて、安全で快適に利用できるよう配慮しつつ整備を行っており、平成15年3月末現在、計画総延長は約2万1,000kmに及びます。
 平成15年度は、引き続き近畿自然歩道の整備を行うとともに、北海道自然歩道の整備に着手しました。また、老朽化した東北、首都圏、東海、中部北陸、中国、四国、九州の各自然歩道の施設について再整備を行いました。
 なお、平成14年における利用者数は、5,252万人に達しました。

(4)森林の多様な利用の推進
 主として都市近郊等における保健保安林等の安全快適な利用の促進を図るための施設整備につき助成等を行ったほか、保健保安林等を対象として防災機能、環境保全機能等の高度発揮を図る共生保安林整備事業を推進しました。また、国民が自然に親しめる森林環境の整備を行う森林空間総合整備事業等につき助成しました。
 国有林野については、自然休養林等のレクリエーションの森において、森林及び施設の整備等を行うとともに、利用者にレクリエーションの森の整備等への協力を求める「森林環境整備推進協力金」制度を推進しました。
 また、スポーツ施設、保健休養施設等の総合的な整備により、家族等が気楽に自然とふれあえる場を提供する「森林ふれあい基地づくり整備モデル事業」を推進しました。
 また、国民が中心となった森林の整備等の活動の場として「ふれあいの森」の設定を推進するとともに、貴重な環境指標であり、次世代に残すべき遺産として選定した国有林野内の巨樹・巨木100本(「森の巨人たち百選」)の保護を図るための地域の取組に対する支援を行いました。
 平成14年度からの完全学校週5日制等の導入に対応して森林環境教育、林業体験学習の場となる森林・施設の整備、フィールド及び指導者の募集・登録・情報提供、企画・運営者の育成や、学校林の整備・活用、都市部の子どもたちを対象にした山村滞在型の森林・林業体験交流活動等を推進するとともに、子どもたちの入門的な森林体験活動を促進する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を実施しました。
 さらに、森林総合利用施設等において、年齢や障害の有無にかかわらず多様な利用方法の選択肢を提供するユニバーサルデザイン手法の導入を図るとともに、新たに里山林等を活用した健康づくりを行う「健康と癒しの森」推進モデル事業等を推進しました。
 また、国有林においては、フィールドを学校等の体験学習の場として利用できる「遊々の森」の設定を推進しました。

(5)独立行政法人国立少年自然の家
 国立少年自然の家は、少年を自然に親しませ、団体宿泊訓練を通じて、少年が心身を鍛練するとともに、自ら実践し、創造する態度を身につけることを目的とする青少年教育施設であり、全国14か所に設置されています。平成15年度は、施設の整備や事業の充実を図りました。

(6)海岸などへのふれあい施設
 自然豊かな海岸づくりを推進するため、海岸事業と治山事業を一体的に行い、海と緑の豊かな海岸環境を確保する白砂青松の創出を実施しました。
 また、生物の生息・繁殖場所となる砂浜、干潟などの保全や創出を行う「エコ・コースト事業」を35か所で実施しました。

(7)河川等へのふれあい施設
 河川の高水敷やダム周辺等を公園、緑地、運動場等に利用するための諸施設の整備を「河川環境整備事業」等により行いました。カヌーポートや水辺の楽校等の整備により、水辺での活動を促進し、親水レクリエーションの促進を図りました。

前のページ 次のページ