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第3節 

4 農薬のリスク対策

(1)農薬の環境影響の現状
 農薬については、毒性の低い薬剤の開発が進み、毒性及び残留性の高いものは使用されなくなったこと、また、農薬取締法の改正等により使用規制が強化されたこと等もあり農薬による環境汚染の問題は少なくなってきています。
 しかし、本来、農薬の使用は生理活性を有する物質を環境中に放出するものであり、今後とも、人体や環境に悪影響を及ぼすことのないよう、安全性を評価し、適正に管理していく必要があります。

(2)農薬の環境リスク対策の推進
 国内で販売される農薬については、農薬取締法に基づき登録の制度を設け、使用による人畜や環境への悪影響を未然に防止するため、毒性、残留性等について評価し登録を保留するかどうかの基準(農薬登録保留基準)を定めています。これらの基準のうち、1)作物残留に係るもの、2)土壌残留に係るもの、3)水産動植物に対する毒性に係るもの及び4)水質汚濁に係るものは環境大臣が定めています。平成15年度においては、作物残留に係る基準は5農薬(累計383農薬)、水質汚濁に係る基準は2農薬(累計135農薬)について基準値を設定しました。
 生態系保全を視野に入れた取組を強化するため、平成15年3月に改正した水産動植物に対する毒性に係る農薬登録保留基準については、17年4月の円滑な施行に向け、試験法等について調査及び検討を行いました。
 また、登録された農薬が適正に使用されるよう、農薬取締法第12条に基づき農林水産大臣及び環境大臣が定める「農薬使用者が遵守しなければならない基準」も水質汚濁防止の観点から平成15年11月に改正しました。
 さらに、平成14年の農薬取締法改正で新たに導入された、特定農薬制度の円滑な運用のため、その指定の際の評価に関するガイドラインを農林水産省・環境省共同で定めました。
 また、水質汚濁性農薬指定等の検討を行うため、農薬リスク総合評価システムの確立・推進、農薬の各種残留実態調査、農薬の生態影響等調査研究を実施しました。
 さらに、平成16年5月に発効する見込みであるPOPs条約の内容を踏まえ、POPs廃農薬の無害化処理技術の実証調査等を実施しました。

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