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第3節 

5 リスクコミュニケーションの推進

 化学物質は、私たちの生活を豊かにし、また生活の質の維持向上に欠かせないものとなっている一方で、日常生活のさまざまな場面、製造から廃棄にいたる事業活動の各段階において、環境を経由して人の健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれがあり、こうした環境リスクに対する国民の不安も大きなものとなっています。このため、化学物質に関する正確な情報を市民・産業・行政等のすべての者が共有しつつ相互に意思疎通を図るというリスクコミュニケーションを推進しています。
 環境省では、情報の整備のため、「PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック」の作成・配布や、化学物質の情報データベースのホームページでの設置などを進めています。さらに、事例集などの関連情報を掲載した「リスクコミュニケーションホームページ」(http://www.env.go.jp/chemi/communication/index.html)を平成12年から開設しており、随時その内容の充実を図っています。また、化学物質と環境に関する学習関連資料の利用促進を図るため、平成15年6月に同ホームページ内に「化学物質と環境に関する学習関連資料データベース」を設置し、既存の学習関連資料を紹介しているほか、国民から募集して得られたアイデアをもとにパソコン上で遊びながら学べる学習関連資料を作成しています。経済産業省では、事業者向けに作成・配布している「化学物質について正しく理解してもらうために」やリスクコミュニケーションのホームページにて情報の提供を行いました。
 また、対話の推進には、対話を円滑に進める人材等が必要です。環境省では、化学物質アドバイザーの育成・活用を推進するため、研修・登録・派遣を試行的に行うパイロット事業を平成14年度より着手して平成15年度には派遣を開始し、PRTR制度についての講演会講師等として延べ125件の派遣を行いました。このほか、環境省では、市民、産業、行政等の代表による情報の共有及び相互理解のための場である「化学物質と環境円卓会議」を平成15年度には3回開催し、会議における議論等の内容についてインターネットを通じて市民、産業、行政に発信しています。

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