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第5節 

2 排出油等防除体制の整備

 OPRC条約及び「油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」(以下「国家的な緊急時計画」という。)に基づき、環境保全の観点から油汚染事件に的確に対応するため、1)油汚染事件により環境上著しい影響を受けやすい海岸等に関する情報を盛り込んだ図面(脆弱沿岸海域図)の作成・公表、2)関係地方公共団体、民間団体等に対し、事件発生時の環境保全面からの対応の在り方に関する知識の普及、研修・訓練の実施、3)油汚染事件発生時における傷病鳥獣の適切な救護について地方公共団体職員等を対象に研修を実施しました。また、油汚染事件に対する環境保全対策の一層の充実を図るため、油処理剤の環境影響の評価に関する情報の収集及び調査を進めました。
 タンカー等の油流出事故等を防止するため、ポートステートコントロール実施体制の強化を推進し、また、油防除資機材の整備、大型のしゅんせつ兼油回収船の建造、荒天対応型大型油回収装置等の研究開発等についても進めています。また、海上における油等の排出事故に対処するため、巡視船艇・航空機の常時出動体制を確保し、防除資機材を配備するとともに、独立行政法人海上災害防止センターへの指導、排出油防除に関する協議会等の組織化・広域化の推進及びこれらの協議会との連携のもとに行う各種訓練等の内容の充実により、官民一体となった排出油防除体制の充実を図りました。
 さらに、油防除活動等を効果的に行うために必要な「沿岸海域環境保全情報」の整備を進め、平成15年6月から国の関係機関、地方公共団体等が、インターネットでこれらの情報の共有化を進めています。そのほか、油等の排出事故対応に資するため、一週間程度にわたる漂流予測の情報を提供するための海上浮遊物移動拡散予測業務についても引き続き実施するとともに、マリンレジャーの活発な相模湾に次世代型海流監視システムを整備し、漂流予測体制の強化を図りました。
 大規模石油災害時に油濁災害対策用資機材の貸出しを行っている石油連盟に対して当該資機材整備等のための補助を引き続き行いました。また、漁場保全の観点から油汚染事件発生に的確に対応するため、油防除・油回収資機材の整備、関係都道府県等に対する汚染防止機材の整備への助成、防除指導者の育成のための講習会及び実地訓練等への助成、流出油が海洋生態系に及ぼす長期的影響調査を行いました。

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