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第1節 

2 土壌環境の現状

 土壌汚染の原因となる有害物質は、不適切な取扱による原材料の漏出などにより土壌に直接混入する場合のほか、事業活動などによる水質汚濁や大気汚染を通じ二次的に土壌中に負荷される場合があります。
 「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」(昭和45年法律第139号)に基づく特定有害物質による農用地の土壌汚染の実態を把握するため、汚染のおそれのある地域を対象に細密調査が実施されており、平成14年度は7地域1,288haにおいて調査が実施されました。これまでの基準値以上検出面積の累計は132地域7,224haとなっています。
 市街地等の土壌汚染問題については、近年、企業のリストラ等に伴う工場跡地の再開発・売却の増加、環境管理等の一環として自主的な汚染調査を行う事業者の増加、自治体における地下水の常時監視の体制整備に伴い、土壌汚染事例の判明件数が増加しています。
 平成3年8月に「土壌の汚染に係る環境基準」(以下「土壌環境基準」という。)が設定されて以後、都道府県や「水質汚濁防止法」(昭和45年法律第138号)に定める政令市が土壌環境基準に適合しない土壌汚染事例を把握しており、13年度に判明したものは211件に上っています(図3-1-6)。



 事例を汚染物質別にみると、鉛、砒素、六価クロム、総水銀、カドミウムなどに加え、金属の脱脂洗浄や溶剤として使われるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンによる事例が多くみられます。
 土壌環境への影響は汚染だけでなく侵食があります。日本は傾斜地が多く多雨なので侵食を受けやすいため、水田や森林によって表土流出防止が図られています。しかし、水田や森林の保全管理が十分なされない場合には土壌侵食のおそれもあり、留意する必要があります。

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