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第1節 

2 「環境ビジネス」と「環境誘発型ビジネス」

 近年、環境に関連したビジネスが活発になっています。環境省は、環境保全を考えた消費者の行動が、環境に配慮した機器やサービスの需要や市場を誘発する事業を広い範囲で捉え、これらを「環境誘発型ビジネス」とする分類体系に基づき、市場・雇用規模の予測を行いました。これは、経済協力開発機構(OECD)の分類の「環境ビジネス」を含み、これより広い範囲の事業を指すものです(図3-1-4)。




(1)環境ビジネス
 まず、OECDの分類に基づいた環境ビジネスを見てみましょう。環境省は、この環境ビジネスの市場規模が、2000年の29兆9千億円から、2010年には47兆2千億円に、2020年には58兆4千億円になると推計しました。また、雇用規模については、2000年の76万9千人から、2010年には111万9千人に、2020年には123万6千人になると推計しました(表3-1-1)。



 2000年及び2020年時点の市場規模及び雇用規模の大きなビジネス分野としては、廃棄物処理が挙げられます。その他、今後、市場規模及び雇用規模が顕著に拡大すると見込まれるビジネス分野としては、大気汚染防止用装置の開発、教育・研修・情報サービスの提供、環境負荷低減及び省資源型技術の開発等が挙げられます。

(2)環境誘発型ビジネス
 さらに、環境省では、環境保全を考えた消費者の行動が環境に配慮した機器やサービスの需要や市場を誘発する「環境誘発型ビジネス」の市場を試算してみました。例えば、省エネ型家電製品の開発・販売は、従来型の家電製品より省エネ型の製品を購入しようとする環境を保全する志向が需要や市場を拡大する一例です。このような観点から試算を行った結果、2000年現在の市場規模の約41兆円から、2025年に約103兆円となり、雇用規模は、現状の約106万人から、2025年の約222万人になると予測されます(表3-1-2)。



 これらの市場が消費者の支持を受けて拡大するにつれて、事業者も将来性のある環境に関連したビジネスに一層投資を行うことにより環境に関連したビジネスの一層の発展につながり、さらに環境が改善されることが期待されます。

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