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第5節 

3 化学物質の環境リスクの低減に向けて

(1)化学物質の環境リスクの評価の推進
 化学物質の利用拡大に伴う環境問題に対して的確かつ迅速に対応するとともに、環境汚染の未然防止を図るため、環境リスクの管理のための施策の基礎となる環境リスクの評価を行うための体制を整備し、推進します。

(2)化学物質の環境リスクの管理
 化学物質の環境リスクの管理については、各種の法令に基づく規制を継続します。また、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づき得られるデータの活用方法について引き続き検討します。

(3)ダイオキシン類問題への取組
 ダイオキシン対策については、ダイオキシン対策推進基本指針及びダイオキシン類対策特別措置法に基づき、政府一体となった取組を迅速かつ着実に進めます。

 ア ダイオキシン類対策特別措置法の施行
 特定施設に対する規制措置の徹底などを図るとともに、環境中のダイオキシン類の存在状況を常時的確に把握し、環境基準及び規制基準の設定・見直しなどの的確な実施を図るため、都道府県等が行う常時監視について助成を行います。
 一般国民が立ち入ることができる地域で土壌環境基準を超過した地域に対し、対策地域の指定、対策計画の策定等の必要な措置が早急に講じられるよう、都道府県などに助言します。また、都道府県等が実施するダイオキシン類による土壌の汚染の除去等に当たって都道府県等が負担する経費への助成を実施します。
 また、水質環境基準に関し、生物濃縮に係る検討などを行うとともに、水底の底質に係る環境基準に関し、その設定に係る検討を行うため、引き続き科学的知見の収集に努めます。また、地下水汚染の機構の解明、原因究明手法の確立に向けた調査を推進します。さらに、ダイオキシン類に係る土壌環境基準などの検証・検討のための各種調査などを実施します。
 廃棄物の最終処分場対策としては、処分場内におけるダイオキシン類の分解・安定化などの長期的な挙動を把握し、維持管理基準等の検証・検討に資するための調査を実施します。
 また、臭素系ダイオキシンについてもその毒性や暴露実態に関する知見を収集・整理するとともに、大気、水質等の環境中濃度や、排出施設からの排ガス、排水中の濃度を測定します。

 イ その他の取組
 以上のほか、ダイオキシン対策推進基本指針に基づき、関係府省が連携し引き続き各種の取組を進めます。
 (ア)耐容一日摂取量(TDI)*をはじめとした各種基準などに係る科学的知見の充実

*耐容一日摂取量(TDI)
Tolerable Daily Intake

 ダイオキシン類の各種環境媒体や食物を通じた生物濃縮などに関する最新の情報を収集し、ダイオキシン法に基づく基準などに係る科学的知見の一層の充実を図ります。
 (イ)ダイオキシン対策推進基本指針に基づくダイオキシン類の排出削減対策
 排出インベントリーの更新を行うなど、施策の効果を把握しつつ、いまだ明らかになっていない発生源からの排出実態や発生源と環境中の濃度との関連等についての新たな科学的知見をさらに充実させ、必要な対策について検討します。
 (ウ)ダイオキシン類に関する検査体制の整備
 平成14年度に環境省が実施するダイオキシン類の環境測定を伴う請負調査について、環境省が測定分析機関に対しダイオキシン類の環境測定に係る精度管理指針に規定された事項等が実施されているかの受注資格審査を行います。また、分析技術の向上を図るため、地方公共団体の公的検査機関の技術者に対する研修を進めます。
 (エ)健康及び環境への影響の実態把握
 環境、生物、人体、労働環境、廃棄物焼却施設、産業分野等各方面におけるダイオキシン類について、関係府省の連携の下で実態把握を行います。
 (オ)調査研究及び技術開発の推進
 平成11年度に策定した総合的計画に基づき、毒性評価、環境中挙動、人への暴露評価、生物への影響などに関する調査研究及び廃棄物の適正な焼却技術、汚染土壌浄化技術、ダイオキシン無害化・分解技術、精度管理、簡易測定分析などに関する技術開発に取り組みます。
 (カ)廃棄物処理及びリサイクル対策の推進
 廃棄物の最終処分の適正なあり方について一層の充実を図るため、引き続き埋立地内におけるダイオキシン類の長期的挙動の把握、廃棄物焼却炉である特定施設以外から排出される廃棄物のうちダイオキシン類を高濃度に含む可能性のある廃棄物の把握等に努め、必要な措置を講じていきます。
 (キ)国民への的確な情報提供と情報公開
 国民に対して、ダイオキシン問題についての理解と協力を得るため、調査研究や技術開発の成果を公開する等、あらゆる機会をとらえ、関係府省が協力して各種取組を進めます。

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