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第5節 

3 快適な環境(アメニティ)の確保

(1)快適な環境(アメニティ)の確保
 ア 地域づくりと快適な環境(アメニティ)
 豊かな緑や清らかな水辺、美しい景観や歴史的街並みなど快適な環境(アメニティ)は、私たちの生活に潤いとやすらぎをもたらします。国民の生活環境に対するニーズの高まりに伴い、身近な環境の質を積極的に高め、このような快適な環境を確保していくことが重要な課題となっています。
 また、「持続可能な社会」の構築のためには、地域の段階から「循環」と「共生」の考え方を反映した快適環境づくりが行われることが必要です。
 このため、地域の各主体が連携して、地域独自の自然・歴史資源を活用しながら快適環境づくりに取り組んでいる6市町の表彰(第12回アメニティあふれるまちづくり優良地方公共団体表彰)を行いました。
 自然エネルギー活用システムの導入等に対しては、次世代都市整備事業により支援を行い、環境負荷の軽減、自然との共生、アメニティの創出という環境共生都市(エコシティ)理念の実現を推進しました。また、下水道施設について、新世代下水道支援事業制度水環境創造事業を引き続き推進しました。さらに、地球温暖化防止等の地球環境保全を促進する観点から、エネルギーの面で適切な配慮がなされるとともに周辺の自然環境等と調和し、健康で快適な生活ができるよう工夫された「環境共生住宅」を整備・促進するため「環境共生住宅市街地モデル事業」にて支援を行いました。
 また、省エネルギー化を図った施設建築物を整備する市街地再開発事業等に対し特別な助成を行う先導型再開発緊急促進事業にて支援を行いました。
 さらに、ほ場整備による優良農地の確保、保全と併せて地域の活性化のため、換地の手法を活用し、公共用地や宅地等地域の多様な土地需要に対応した非農用地を創出するとともに、既存集落と一体的に生活環境を整備することにより、潤いのある田園居住空間を創造する「農村活性化住環境整備事業」を実施しました。

 イ 良好な大気の確保
 国民が身近な環境の状況を正しく認識し、大気保全意識を高めることが重要との観点から、全国星空継続観察、かおり環境都市モデル事業等市民参加型の事業を実施しました。また、環境基本計画の趣旨を踏まえ、各地域において地方公共団体、住民等の協力により良好な音環境を保全しようとする取組を支援するため「残したい“日本の音風景100選”」事業のフォローアップを行うとともに、良好な照明環境の形成を推進するため光害対策モデル計画の策定を行いました。

 ウ 良好な水域の生態系の確保
 水質汚濁防止法等による水質汚濁の防止に係る規制や、下水道等の事業や自然環境保全法等による排水規制を適切に推進し、水域における生態系の良好な確保に努めています。
 また、住民が水辺環境に関心を持ち、生活の中で水と人との関係を考えていくことができる基盤づくりや、自発的に環境保全に参加できる環境づくりを推進するため身近な水辺環境再生事業を実施して小動物や植物が生息できる水辺環境の再生等水辺空間を再生・創造しています。
 さらに、河川の良好な自然環境を保全・復元するため、「多自然型川づくり」「魚がのぼりやすい川づくり」等を推進しました。

 エ 景観保全
 美しいむらづくり対策事業の推進等により生活環境の整備にあわせて、緑や水を活かした美しい景観や環境保全等に配慮した整備を行い、地域住民が快適に居住でき、都市住民にとっても魅力ある農山漁村の景観環境の形成を促進しました。
 また、河川と一体となった景観の保全・創造のために、「マイタウン・マイリバー整備事業」「ふるさとの川整備事業」等を各地域において推進しました。
 さらに、公共施設整備、市街地開発事業等を契機として、地方公共団体と地域住民とが協力して、地域の良好な景観形成を誘導するため、シンボルロード整備事業等による良質な公共施設の整備と、地区計画等による地域内の建築物の形態等の規制を実施し、美しい街並みが形成されるよう、積極的な支援を行いました。

 オ 歴史的環境への配慮
 豊かな歴史的環境の確保・保全のため、史跡等の公有化及び整備・活用等を通じて地域づくり等を推進しました。
 さらに、市町村が行う伝統的建造物群保存対策調査及び重要伝統的建造物群保存地区内の建造物の保存修理、防災施設等の設置、建物や土地の公有化などの事業に対して補助を行いました。
 古都における歴史的風土の保全に関する特別措置法に基づき指定された歴史的風土保全区域において、特に枢要な部分を構成している地域については、歴史的風土特別保存地区の指定や地方公共団体による土地の買入れ等を推進しました。
 農村地域の水と土を中心とする地域資源を歴史的・文化的観点から再評価し、地域の特性を活かした伝統的農業施設、美しい農村景観等の保全・復元に配慮した整備(田園空間博物館の整備)等を行う「田園整備事業」を推進しました。

(2)民間環境保全活動の促進
 平成12年度には、ナショナル・トラスト活動の普及のための小冊子を作成するなど同活動の普及啓発の施策を講じました。また、(社)ナショナル・トラスト協会が第18回ナショナル・トラスト全国大会を静岡県清水町で開催し、ワークショップ、シンポジウム等を通じて活動の趣旨の一層の周知を図りました。
 また、国立公園の保護管理、利用者指導、自然解説活動を広く国民の参加を得て実施するため、公益信託自然保護ボランティアファンドの発展・充実に努めるとともに、自然解説活動の指導者の研修等を行いました。
 一方、森林とのふれあい体験を通じて森林整備と資源循環利用の意義や森林・林業の果たす役割への理解を深めるため、森林インストラクター等により一般市民への普及啓発を行いました。
 また、「身近な生きもの調査(環境指標種調査)」についてとりまとめを行い、国民参加による身近な自然環境の状況を把握するとともに啓発普及を図りました。
 さらに、海浜生物生息環境調査事業や漁場環境保全総合美化推進事業を通じ、ボランティア団体等が海や干潟等で行う生物、水質・底質の定点調査及び海浜清掃等の支援を行いました。

(3)都市と農山漁村の交流
 近年における緑や自然に対する国民のニーズの高まりを背景として、国民の健康的でゆとりある生活の実現に資するとともに、地域農産物の販売促進、雇用機会の確保等を通じて、農村の活性化を図るため、グリーン・ツーリズムを中心とする都市と農村の交流等を推進しました。
 具体的には、都市側の条件整備として、都市ニーズの調査・分析を実施し効果的な情報受発信手法を検討する一方、農村側の条件整備として、農家民宿に対する支援や文部科学省との連携による学童の短期・長期の農業・農村体験活動を推進するとともに、交流体制の整備として、消費者団体等の参加による都市農村交流協議会等の設置を行いました。山村においては、国民が森林を活用して健康の維持・増進を促進するため、森林浴活動に適した森林の整備などを計画的に実施するほか、都市住民等の直接参加による森林づくりを推進するための基盤整備等を行う「森林総合利用森林整備促進対策」を実施するとともに「緑の募金」及び「緑と水の森林基金」の助成により森林整備等に関する事業を推進しました。
 また、豊かな自然と景観に恵まれた漁港、漁村においては、都市住民等へ海と自然とのふれあいを提供するため、親水機能を有する護岸やキャンプ場等の整備を行う漁港交流広場整備事業を全国57地区で、また、漁港における景観の保持や美化を図るため、植栽や親水施設等の整備を行う漁港環境整備事業を全国94地区で実施しました。さらに、漁港内において漁船とプレジャーボート等とのトラブルを防止し、漁業生産活動の円滑化を図り、都市と漁村との交流促進を促す海洋性レクリエーション空間の創出に資するフィッシャリーナの整備を漁港利用調整事業により全国11地区で実施しました。これらに加え、漁業と調和した健全な海洋性レクリエーションの発展を促進するため、漁業関係者と遊漁船業者等との協議会を実施したほか、海洋利用に関するルール・マナーの啓発を行い、また沿岸域を熟知している漁業者自らが主体となって遊漁船業、ダイビング案内、釣り場等の管理運営等を行うことにより、良好な自然環境の保全を図りながら都市住民との交流を促進しました。
 さらに、水産物等の地域のさまざまな資源を活用した特産品づくりや販売活動、都市と漁村との交流活動、漁業地域の振興を円滑に進めるための方策の検討等、地域の実態に即した活性化活動を支援する「元気な漁村づくり推進事業」を実施し、交流促進を図りました。

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