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第4節 

3 循環資源の適正な循環的な利用の推進

(1)使用済製品の再使用の推進
 「資源有効利用促進法*」に基づき、複写機材の製造における再生部品の使用や自動車、オートバイ、パソコン、ぱちんこ遊技機材等の3R(リデュース、リユース、リサイクル)配慮設計といった対策を講じました。

*資源有効利用促進法
「資源の有効な利用の促進に関する法律」平成3年4月26日法律第48号

(2)回収・再生利用の推進
 環境への負荷の低減のため、廃棄物の再生利用、再生資源の回収・利用を促進する必要があります。
 資源有効利用促進法は、平成13年4月に施行され、事業系パソコンと小型二次電池について、事業者による自主回収・リサイクルといった対策を講じました。
 また、家庭系パソコンの回収・リサイクルシステムのあり方について産業構造審議会パソコン3Rワーキンググループ及び環境省パソコンリサイクル検討会において検討を行いました。
 平成9年に改正された廃棄物処理法に基づき、一定の廃棄物の再生利用について、その内容が生活環境の保全上支障がない等の一定の基準に適合していることを環境大臣が認定し、認定を受けた者については業及び施設設置の許可を不要とする規制緩和措置が講じられました。これまでに自動車用廃タイヤのセメントの原材料利用、シールド工法に伴う建設汚泥の高規格堤防の築造材としての利用、廃プラスチック類の高炉還元剤としての利用及び廃肉骨粉のセメント原材料利用がこの再生利用認定制度の対象となり、平成13年度には、建設汚泥の再生利用を行う3事業者及び廃肉骨粉の再生利用を行う24事業者が認定を受けました。
 また、「省エネリサイクル支援法*」に基づく、リサイクルを推進するための設備の導入、技術開発に関して、金融・税制上の特例措置を講じました。

*省エネリサイクル支援法
「エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法」平成5年3月31日法律第18号

 自動車については、中央環境審議会自動車リサイクル専門委員会及び産業構造審議会自動車リサイクル小委員会(現自動車リサイクルWG)において、リサイクルシステムのあり方について検討を行い、中央環境審議会では平成13年8月に中間報告を、産業構造審議会では平成13年9月に第2次報告書をそれぞれ取りまとめました。これらの検討結果を踏まえ、平成14年4月に使用済自動車の再資源化等に関する法律案を第154回国会へ提出したところです。
 平成12年5月に公布された「建設リサイクル法*」について、平成13年5月に、解体工事業を営もうとする場合に技術管理者を選任し、都道府県知事への登録を義務付けた解体工事業者登録制度が施行されるとともに、分別解体等実施義務の対象となる建設工事の規模基準や都道府県知事への届出内容等に関する政省令の整備を進めました。また、建設リサイクル法の円滑な施行に向けて、ミレニアム・プロジェクトとして実施している、再資源化施設の稼働状況等を提供する「建設副産物情報交換システム」の全国運用に向け、平成13年8月より試行運用を実施するとともに、分別解体等及び再資源化等のリサイクル技術等について調査を行い、都道府県等に対して情報を提供しました。

*建設リサイクル法
「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」平成12年5月31日法律第104号

 下水道事業において発生する汚泥(発生汚泥等)については、コンポスト化、建設資材化による再生利用等を推進するとともに、再生利用推進のための各種調査研究等を行いました。
 農業集落排水事業の実施においては、発生汚泥を有機質肥料等とするリサイクルなどを推進しました。
 また、リサイクルの一層の促進を図るため、リサイクルに関連する経済的手法のあり方についての検討がそれぞれ進められました。

(3)容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律について
 近年、特に分別収集量が増加しているペットボトルについて、再商品化計画を実態に応じて見直しを行い、平成12年度の再商品化義務総量を増加させるとともに、平成13年度以降の再商品化計画についても改正を行い、あわせて、市町村の作成する分別収集計画についても平成13年度以降の数値の見直しを行いました。さらに、循環型のペットボトルリサイクル技術(使用済みのペットボトルを再度ペットボトルの原料として利用する技術、いわゆるボトルtoボトル)の開発動向を踏まえ、必要な法整備として平成13年5月に基本方針等の改正を行いました。
 平成9年4月の一部施行から4年余、平成12年4月の全面施行から1年余が経過し、より効果的な実施を図るため、一般廃棄物の発生量の削減効果や最終処分量の減量効果等について評価し、「容器包装リサイクル法*」施行前後における市町村の分別収集に伴う廃棄物処理コスト等を把握する実態調査を行いました。さらに、分別収集及び再商品化が円滑に進められるよう、市町村による分別収集計画の策定の支援、分別収集の手引きの作成、再商品化技術の開発、再商品化によって得られたものの需要の拡大、必要な調査研究や説明会等により、容器包装リサイクル法の普及・啓発を行いました(図1-4-4)。

*容器包装リサイクル法
「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」平成7年6月16日法律第112号



(4)特定家庭用機器再商品化法について
 平成13年4月1日に本格施行を迎えた「家電リサイクル法」は、おおむね順調に経過しております。4月1日の施行以降、3月31日の業務終了時までの1年間に全国の指定引取場所が引き取った廃家電4品目は、合計約855万台に達しています。
 一方、前年度との比較ができる全国276の地方公共団体でみると、廃家電4品目の不法投棄台数の合計が施行後の11か月で合計3,551台(約17%)の増加が見られるが、増加した地方公共団体も減少した地方公共団体もあったこと等の状況や、施行後11か月とまだ日も浅いことを考え合わせると、一概に不法投棄が増加したと判断できる状況にはなく、今後とも引き続きその動向を注視していく必要があります。
 また、製造業者等はリサイクルが容易な製品設計や材料の選択等の取組を開始しています(図1-4-5)。



(5)食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律について
 食品の製造、流通、消費の各段階から生ずる加工残さ、食べ残し等の食品廃棄物等についても再生利用等の促進が急務の課題となっています。
 このような状況を踏まえ、「食品リサイクル法*」が平成13年5月に施行され、同法に基づく食品関連事業者等の再生利用等の実施を確保するとともに、これらの円滑な取組を確保するため、登録再生利用事業者制度、再生利用事業計画認定制度等を活用した優良なリサイクル業者の育成、計画的なリサイクルの実施を推進しました。

*食品リサイクル法
「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」平成12年6月7日法律第116号

 また、生産・流通・消費の各段階を通じた食品循環資源の再生利用等の推進を図るため、同法の普及啓発を実施するとともに、リサイクルシステムの先進モデルとなるべきタイプ別モデルの構築、リサイクルの成果の実証事業等を実施しました。

(6)リサイクル関連施設整備の推進
 一般廃棄物について、循環型社会を目指し、21世紀初頭を目途に、廃棄物のほとんどすべてを、「単に燃やして埋める処理」から、極力リサイクルを推進し、焼却処理を行う場合においても熱エネルギーを活用するものへ転換を図ることとしています。このため、廃棄物の排出抑制・リサイクルに努めた後に、なお排出される可燃性のものについては焼却処理等を行うとともに、積極的に余熱利用を行うための施設整備を推進しました。
 リサイクル関連施設については、ペットボトル等の容器包装廃棄物の再商品化、焼却灰の溶融固化、余熱利用、廃棄物発電、ごみ固形燃料化等の普及・技術開発等を推進するとともに、「民活法*」等により、リサイクル関連施設の整備を支援しました。さらに、ペットボトルリサイクル施設について、回収した廃ペットボトルから化学的手法を用いてポリエステル原料にリサイクルする施設を同法の対象施設として追加しました。

*民活法
「民間事業者の能力の活用による特定設備の促進に関する臨時措置法」昭和61年5月30日法律第77号

 また、家畜排せつ物、生ごみ等について、地域における有効利用を促進し、効率的かつ環境保全上適切に循環するシステムを形成するための施設整備を行いました。
 また、食品廃棄物のリサイクルを推進するため、食品廃棄物リサイクル施設の整備の推進、食品リサイクル施設先進モデルの実証等を実施しました。

(7)都市再生プロジェクトの推進
 平成13年6月14日の都市再生本部決定に基づいて、大都市圏におけるゴミゼロ型都市への再構築に向けた取組が開始されました。第1段階のプロジェクトとして、東京圏(埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県の1都3県)を対象とした検討が行われています。平成13年7月には、関係七都県市及び関係各省から構成される「ゴミゼロ協議会」が設置され、平成13年11月には、七都県市による中長期計画の策定に向けた中間取りまとめを行いました。この中間取りまとめでは、国の基本方針より前倒しした廃棄物の減量化目標の設定、臨海部に立地する既存産業の集積や既存インフラの活用を踏まえた廃棄物処理・リサイクル施設の集中立地を行う拠点の形成、トラックによる端末的輸送手段と海上輸送、鉄道及び河川舟運が適切に組み合わされた環境負荷の小さい効率的な静脈物流システムの構築等を行うこととしています。

(8)総合的な静脈物流システムの構築に向けた港湾における取組
 循環型社会の実現を図るため、港湾において港湾管理者による整備計画を踏まえ、循環資源の収集・輸送・処理の総合的な静脈物流拠点を形成し、長距離大量輸送に適し、低廉で環境にやさしい海上輸送によりその広域ネットワーク化を図るなど、総合的な静脈物流システムの構築に向けた検討を進めました。

(9)リサイクルにおける環境配慮
 電気製品や自動車などの有害物質を含む使用済製品について、有害物質を含む部品の回収による有害物質のリサイクルの促進方策について調査検討を行いました。また、廃棄物の減量化及び環境への負荷の低減を図るため、リサイクルの促進に関する各種普及啓発事業及び調査研究を行うとともに、廃棄物のリサイクルについては、現在環境保全面からの適切な基準が設定されていないことから、廃棄物のリサイクルに係る環境保全上のガイドラインを策定するための調査を行いました。さらに、リサイクルが環境に与える影響を把握し、リサイクルされた原材料を使用した製品等に含まれる可能性のある有害物質等に関する情報の把握を行い、必要な施策を検討しました。

(10)ゼロ・エミッション構想の推進
 地域における資源循環型経済社会構築の実現に向けて、ゼロ・エミッション構想推進のため「エコタウン事業」を実施しており、平成9年度の4地域(川崎市、長野県飯田市、岐阜県、北九州市)、平成10年度の3地域(福岡県大牟田市、札幌市、千葉県)、平成11年度の2地域(秋田県、宮城県鶯沢町)、平成12年度の4地域(北海道、広島県、高知県高知市、熊本県水俣市)に加えて、平成13年度は、2地域(山口県、香川県直島町)を承認し、それぞれの計画に基づくリサイクル関連施設整備事業等に対するハード面の支援、及び環境関連情報提供事業等に関するソフト面での支援を実施しました。
 環境事業団では、循環と共生を基調とする地域づくりの実現に向けて、平成10年度に「ゼロ・エミッション団地」建設構想を具体化するための調査及び基本計画の作成を行い、これに基づき平成11年度から、神奈川県川崎市において異業種中小企業の連携・集団化等を通じて廃棄物再生・余剰エネルギーの有効利用、CO2排出削減等を総合的に推進する企業団地の建設譲渡事業を実施しました。

(11)使用済みFRP船の収集・再商品化等の推進
 FRP(ガラス繊維強化プラスチック)船については、数年後には廃船時期を迎えるものが1万隻を超えることが予想されており、また、現在約14万隻ともいわれる放置艇の沈廃船化を未然に防止する観点から、低廉な廃船処理システムの確立が求められています。
 このため、平成12年度から、ミレニアム・プロジェクトとして実施している、経済性に優れ、かつ環境にも配慮した「FRP廃船高度リサイクルシステム構築プロジェクト」を平成13年度においても継続して実施しており、リサイクル技術確立のための実証研究及びリサイクルシステム構築のための基礎的情報の収集等を実施しました。

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