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第4節 

4 廃棄物の適正な処理の推進

 平成12年の廃棄物処理法の改正により、不適正処理に関与した者又は適正な処理料金を負担していない場合等一定要件を満たす排出事業者に対し措置命令を発出することができるようにするなどの規制強化が行われ、排出事業者責任の徹底が図られたところですが、同改正法の趣旨を徹底する観点から、平成13年5月に都道府県知事等に対し、違反行為に対しては、迅速かつ厳格な行政処分をもって対応すること等を内容とする行政処分の指針(地方自治法に基づく技術的な助言)及び違反行為に対する行政処分の基準(地方自治法に基づく法定受託事務の処理に当たりよるべき基準)を通知しました。
 「PCB特別措置法*」の施行にあわせて、廃棄物処理法施行令を改正し、同法を廃棄物処理法に規定する生活環境の保全を目的とする法令に追加し、また、ポリ塩化ビフェニル(PCB)汚染物に塗布され、染み込み、付着し、又は封入されたPCBの分解施設を産業廃棄物処理施設に追加するとともに、同施設等を告示縦覧等を要する産業廃棄物処理施設に追加するなどPCB廃棄物に必要な所要の改正を行いました。

*PCB特別措置法
「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」平成13年6月22日法律第65号

 牛海綿状脳症の国内での発生に伴い、と畜場及び食鳥処理場における家畜の解体等に伴って生ずる固形状の不要物について適正な処理を確保するため、産業廃棄物としての位置付けを明確にするとともに、肉骨粉の飼料等としての使用が禁止され、廃棄物となった肉骨粉については、その処理の円滑化に係る地方公共団体への要請や、廃棄物処理法の再生利用認定によって肉骨粉の再生利用が図られるよう所要の改正を行いました。
 コンクリート製品の製造工程から発生するコンクリート製品の不良品等の廃棄物を「コンクリートくず(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じるものを除く。)」として、廃棄物処理法施行令に明示的に規定し、産業廃棄物としての取扱いを法的に明確化するとともに排出事業者が産業廃棄物の処理を委託する際に締結した委託契約書を契約の終了後から5年間保存することを委託基準として追加しました。
 なお、ほう素、ふっ素並びに硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素に係る一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令の改正について、平成13年8月に中央環境審議会から答申されました。この答申をうけ、平成14年3月に、ほう素及びその化合物、ふっ素及びその化合物並びにアンモニア、アンモニウム化合物、亜硝酸化合物及び硝酸化合物の3項目について、廃棄物最終処分場の放流水の排水基準を追加する改正省令を公布しました。

(1)一般廃棄物対策
 ダイオキシン類排出削減とともに一般廃棄物のリサイクルの促進のため、平成13年度は、補正予算を含めた総額3,017億9,700万円の補助金等(産業廃棄物分を含む)により、ごみ処理施設、汚泥再生処理センター、埋立処分地施設、リサイクルプラザ等の一般廃棄物処理施設の整備を図りました。
 また、一般廃棄物処理施設に係る民間資金活用型社会資本整備事業に対して補助を行いました。さらに、都道府県において、ダイオキシン類対策、余熱の有効利用、公共工事のコスト縮減等の観点から策定された、ごみ処理の広域化計画に基づいた廃棄物処理施設の整備を推進しました。
 し尿・浄化槽汚泥を処理したものの海洋投入処分については、海洋環境に負荷を与える行為であり、従来より、禁止する方針が示されていること、国際的な海洋環境保全に対する動きの高まり等を踏まえ、平成14年1月に廃棄物処理法施行令を改正し、し尿・浄化槽汚泥を処理したものについて、現に海洋投入処分を行っている者に対して5年間の経過措置を設けた上で禁止しました。

(2)産業廃棄物対策
 平成12年度の法改正において公共関与による施設整備促進のため、廃棄物処理センター制度等の拡充を図るとともに、産業廃棄物処理施設のモデル的な整備に対する補助制度を創設しましたが、平成13年度においては新たに補助対象事業者として2以上の都府県より設立された広域的廃棄物処理センターの追加、都道府県等の負担を軽減する等の制度の拡充を図りました。
 PCB廃棄物の処理のために必要な体制を速やかに整備することにより、その確実かつ適正な処理を推進するため、平成13年6月にPCB特別措置法及び「改正環境事業団法*」が制定され、PCB廃棄物処理に向けた枠組みが整備されました。これらの法律に基づき平成28年7月までにPCB廃棄物の処分を完了すべく取り組んでいます。

*改正環境事業団法
「環境事業団法の一部を改正する法律」平成13年6月22日法律第66号

 全国の産業廃棄物の不法投棄の状況については、投棄件数は増加していましたが平成10年度をピークに減少し、平成12年度は1,027件で、投棄量についてはここ数年40万t前後で推移しています(表1-4-1)。



 不法投棄の未然防止を図るためには、平成13年4月に全面施行された改正廃棄物処理法を厳格に運用することが必要です。このため、平成13年5月に行政処分の指針とともに不法投棄等に対し厳正に対処するべき旨を都道府県等に通知しました。
 また、都道府県等の監視体制強化等に対する経費を助成するとともに、人工衛星を活用した新たな監視手法の開発を進めているほか、平成13年10月に設置した地方環境対策調査官による不法投棄の情報収集を迅速に行うため、IT機器を活用した監視システムの整備を図りました。
 さらに、不法投棄された産業廃棄物の原状回復を行う都道府県等に対し、産業界の自主的な拠出や国の補助金により造成した基金により経費支援を行っています。

(3)広域処理場整備の推進
 大都市圏域において、圏域を一体とした広域的な最終処分場確保の要請に対応するため、広域的な廃棄物の埋立処分場計画(いわゆるフェニックス計画)の推進が図られてきました。
 近畿圏では、平成13年10月に大阪湾広域臨海環境整備センターの大阪沖埋立処分場の整備工事が着工されました。また、同年12月には神戸沖埋立処分場が竣工し、2府4県195市町村に拡大された広域処理対象区域から排出される廃棄物の受入れが開始されました。
 首都圏については、広域処分は必要との認識から、広域処分場建設に関する調査を実施しました。

(4)廃棄物の処理における環境配慮等
 平成12年6月の廃棄物処理法の改正により、廃棄物焼却施設の過度の集中について大気環境基準に関する規定、廃棄物処理施設を設置する際に周辺施設に適正な配慮がなされることが許可の条件として追加されました。
 港湾における廃棄物処理対策として、平成13年度は、38港1湾において廃棄物埋立護岸の整備に対する補助を実施したほか、一般海域における浮遊ごみ・油の回収事業等を行いました。さらに、資源のリサイクルの促進のため、首都圏の建設発生土を全国の港湾建設資源として広域的に有効活用するプロジェクト(いわゆるスーパーフェニックス)を平成6年度に開始し、平成13年度は石巻港、中部国際空港関連工事、広島港、呉港において建設発生土の受入れを実施しました。
 また、環境保全に留意しつつ下水汚泥の緑農地利用及び建設資材化を推進するとともに、下水汚泥等を原料とした再生資材を積極的に活用した下水道事業を実施しました。

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