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第3節 

6 水環境の監視等の体制の整備

(1)公共用水域等の監視測定体制の整備
 ア 環境基準設定項目等の監視
 水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長は公共用水域の水質の常時監視を行っています。そのために必要な経費のうち測定計画の作成費及び公共用水域の水質調査に係る経費について、助成を行いました。この水質調査は、環境基準の水域類型の指定が行われた水域等水質監視の必要性の高い水域が対象となっています。
 これに加えて、国は、河川管理者の立場から、全国一級河川の主要な地点について、水質汚濁状況を把握するため、水質の測定を実施しました。
 公共用水域の水質の常時監視体制の強化を図るためには、監視の自動化を推進する必要があります。平成13年度末現在、都道府県、政令市により139か所に水質自動監視測定装置が設置されており、その設置について助成を行っています。また、全国の一級河川の主要な水域についても、平成13年度末現在93水系、199か所に水質自動監視測定装置を設置し、そのうち、194か所においてテレメータ化を図り、水質の集中監視を実施しています。
 また、現在、pH及びDOに係る環境基準の測定方法として水質自動監視測定装置による測定が公定法化されていますが、引き続きCOD及び全窒素・全りんについても、水質自動監視測定装置による測定の公定法化を図るため調査・検討を実施しています。
 さらに、都道府県及び政令市における監視体制の強化を図るため、地方公害研究所等の水質分析機器の整備に対して助成を行いました。
 排水の監視については、水質汚濁防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長は、工場、事業場の排水基準の遵守状況を監視するため、必要に応じ工場、事業場に報告を求め又は立入検査を行っています。これらの監視行為に基づき、都道府県知事及び政令市長は、改善命令等の必要な行政措置を工場、事業場に行っています。
 また、関係地方公共団体において工場・事業場排水に関し水質テレメータ監視システムの整備が進められていて、国は必要な経費について助成を行っています。

 イ 要監視項目の監視
 クロロホルムをはじめとする22項目の要監視項目*については、環境省において公共用水域等の水質測定を行っているほか、都道府県においても地域の実情に応じ、必要と考えられる項目について同様の測定が行われています。

*要監視項目
平成5年3月に人の健康の保護に関する環境基準項目の追加等が行われた際に、人の健康の保護に関連する物質ではあるが公共用水域等における検出状況等から見て、現時点では直ちに環境基準健康項目とせず、引き続き知見の集積に努めるべきと判断されるクロロホルム等の25物質について「要監視項目」と位置付け、継続して公共用水域等の水質の推移を把握することとした。平成11年2月には、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素等3項目を健康項目に移行し、要監視項目を22項目としている。

(2)住民の協力を得た調査の実施
 全国の河川において、都道府県の環境部局及び地方整備局河川関係事務所の指導の下、それぞれ71,158名(平成13年度)、15,169名(平成13年度)に及ぶ一般市民の参加を得て、水生生物による水質調査を実施しました。

(3)地下水の監視測定体制の整備
 汚濁の常時監視が義務付けられ、国及び地方公共団体は地下水の水質調査を行っています。調査の種類は、地域的な地下水の状況を把握する概況調査、概況調査等により新たに発見された汚染についてその汚染の範囲等を確認する汚染井戸周辺地区調査、汚染井戸周辺地区調査により確認された井戸の継続的監視等、経年的な監視測定を行う定期モニタリング調査の3つに分かれています。

(4)海洋環境保全のための監視・調査
 わが国周辺海域の海洋環境の現状を把握するとともに、国連海洋法条約の趣旨を踏まえ、領海・排他的経済水域における生態系の保全を含めた海洋環境の状況の評価・監視のため、水質、底質、水生生物を総合的・系統的に把握するための海洋環境モニタリングを行いました。また、海洋を漂流するゴミや海岸に漂着・埋没するゴミ等の状況を把握するための実態調査を行いました。
 さらに、海洋環境の保全のための基礎資料を得ることを目的として、わが国の周辺海域、「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」(以下「海防法」という。)に定めるA海域、閉鎖性の高い海域等において、海水及び海底堆積物中の油分、PCB、重金属等について海洋汚染調査を実施しました。
 海洋における汚染物質の全般的濃度を把握するための海洋バックグランド汚染観測についても日本周辺海域及び西太平洋海域で実施しました。

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