前のページ 次のページ

第2節 

6 地域の生活環境に係る問題への対策

(1)騒音・振動対策
 ア 総説
 (ア)騒音に係る環境基準
 環境基本法第16条の規定に基づき、「騒音に係る環境基準」が定められています。同基準では一般地域及び道路に面する地域のそれぞれについて地域の類型・区分及び時間の区分ごとに基準値を設定しています。都道府県知事による環境基準に係る類型の当てはめのある地域の指定は、平成12年度末現在では47都道府県において、644市、986町、118村、23特別区について行われています。
 (イ)騒音・振動規制法による規制等
 騒音規制法・振動規制法では、騒音・振動を防止することにより生活環境を保全すべき地域を都道府県知事(指定都市・中核市・特例市にあってはその長)が指定し、この指定地域内にある、法で定める工場・事業場及び建設作業の騒音・振動を規制するとともに、自動車から発生する騒音の許容限度を環境大臣が定め、市町村長は、都道府県公安委員会等に対して道路交通に起因する自動車騒音・道路交通振動について対策の要請等ができることとされています。
 都道府県知事(指定都市・中核市・特例市にあってはその長)による地域指定は、平成12年度末現在で、騒音については47都道府県において、669市、1,250町、182村、23特別区について行われており、全市区町村数の65.4%になります。振動については47都道府県において660市、914町、104村、23特別区について行われており、全市区町村数の52.4%になります。

 イ 工場・事業場及び建設作業による騒音・振動対策
 (ア)対策
  a 工場・事業場
 騒音については、指定地域内の特定工場等には規制基準の遵守義務が課せられており、市町村長は、特定工場等から発生する騒音が規制基準に適合しないことにより周辺の生活環境が損なわれると認められる場合に、計画変更勧告や改善勧告、さらに改善命令を行うことができます。平成12年度中には、改善勧告が2件行われました。また、苦情に基づく騒音防止に関する行政指導が1,032件行われました。また、騒音規制の一層の充実に向けて、現在法では未規制となっている施設から発生する騒音について実態調査を行いました。
 また、振動についても、市町村長は、指定地域内の特定工場等に対して、騒音の場合と同様に計画変更勧告や改善勧告及び改善命令を行うことができます。平成12年度中においては、改善勧告は1件行われました。また、苦情に基づく振動防止に関する行政指導が162件行われました。
 なお、住工混在の土地利用により、現に騒音・振動公害が発生し、問題となっている地域では、防音施設や振動防止施設の設置等の騒音・振動防止対策、当該地域からの工場・事業場の移転等が公害対策の重要な手段となっています。しかし、騒音・振動が問題となる工場・事業場の多くは中小規模であり、資金的な面等から移転が困難な場合が多いので、中小企業金融公庫等による工場移転についての融資等が行われています。
  b 建設作業
 市町村長は、特定建設作業に伴い発生する騒音・振動が一定の基準に適合しないことにより生活環境が著しく損なわれると認める場合においては、騒音・振動の防止の方法等に関し改善勧告又は改善命令の措置を行うことができます。平成12年度においては、騒音に関し、苦情に基づく行政指導が1,142件、改善勧告及び改善命令は行われていません。振動に関し、苦情に基づく行政指導が457件、改善勧告及び改善命令は行われていません。
 建設作業の騒音・振動については、低騒音型建設機械・低振動型建設機械の開発が進められています。環境省では、特定建設作業の制度の中で、低騒音型の建設機械の採用を促すための仕組みをつくり、これらの機器の開発・普及を促進しています。

 ウ 自動車交通騒音・振動対策
 (ア)対策
 自動車本体からの騒音は、エンジン、吸排気系、駆動系、タイヤ等から発生しますが、沿道においては、自動車本体から発生する騒音に、交通量、通行車種、速度、道路構造、沿道土地利用等の各種の要因が複雑に絡み合って自動車騒音として問題となっています。また、道路周辺における振動についても、自動車重量、走行条件及び路面の平坦性、舗装構造、路床条件等の道路構造等の要因もあいまって道路交通振動問題となっています。これらの騒音・振動問題を抜本的に解決するため、自動車構造の改善による騒音の低減等の発生源対策、交通流対策、道路構造対策、沿道対策等の諸施策を総合的に推進しています(図1-2-28)。
 なお、自動車騒音に関して市町村長が道路管理者等に対して意見陳述を行った件数は、平成12年度は16件でした(表1-2-15)。





  a 自動車構造の改善
 自動車構造の改善により、自動車単体から発生する騒音の大きさそのものを減らす発生源対策として、自動車騒音規制が実施されています。
 騒音規制としては、市街地を走行する際に発生する最大の騒音である加速走行騒音、一定の速度で走行する際の騒音である定常走行騒音、使用過程車の街頭での取締りなどに適した近接排気騒音の3種類について規制を実施しています。
 特に、近接排気騒音規制は、昭和61年6月から使用過程車も含めて実施され、不正改造車等の取締りに効果を上げています。また、暴走族による深夜の住宅地等における爆音暴走の多発が大きな社会問題となってきたことから、消音器不備、近接排気騒音、空ぶかし運転等に対する取締りを強化しています。
 しかし、これまでの規制強化にもかかわらず、自動車交通量の増加等により幹線道路の沿道地域を中心に環境基準の達成率は依然として低く、一層の騒音低減が必要です。このため、平成3年6月、中央公害対策審議会に対して、「今後の自動車騒音低減対策のあり方について」を諮問し、平成4年11月及び平成7年2月に、加速走行騒音を1〜3デシベル、定常走行騒音を1〜6.1デシベル、近接排気騒音を3〜11デシベル低減する目標値の設定を中心とした答申がなされました。これらの答申に盛り込まれた目標値は、世界的に見ても最も厳しいものであり、政府としては、継続的に技術評価を行うことにより技術開発を促進し、目標値の早期達成を図ってきました。
 答申後4次に渡り、自動車騒音の大きさの許容限度の告示改正を行い、道路運送車両の保安基準改正を行いました(表1-2-16)。これら改正により、前述の答申で示された目標値すべてについて規制強化を行いました。



  b 総合的施策
 平成7年3月の中央環境審議会答申、平成7年7月の国道43号・阪神高速道路訴訟の最高裁判所判決を受け、平成7年12月の道路交通公害対策関係省庁連絡会議(警察庁、環境庁、通商産業省、運輸省及び建設省)において、「道路交通騒音の深刻な地域における対策の実施方針」を取りまとめ、都道府県等に通知し、関係省庁が連携して道路構造対策、交通流対策、沿道対策等の各種対策の総合的実施を図っています。本通知を受け、現在までにほとんどの都道府県等で関係行政機関参加による道路交通騒音対策のための協議会等が開催され、対策が検討されています。
 さらに、平成11年4月より施行された新環境基準の達成に向け、総合的かつ計画的な対策推進を図るための検討を行っています。
  c 道路構造の改善
 道路構造対策としては、環境施設帯や遮音壁等の整備、道路緑化を推進しています。また、低騒音効果のある高機能舗装の敷設、高架裏面吸音板の設置を推進しているほか、低騒音効果のある高機能舗装の騒音低減効果とその持続性の向上を図るための技術開発等を行いました。
  d 交通流対策等
 環状道路等幹線道路ネットワーク整備による交通流の分散・円滑化等を進めるとともに、公共交通機関の利用促進や「新総合物流施策大綱」に基づく物流の効率化等を図っています。

 また、大型車の中央寄り車線通行指定、高速走行に起因する騒音の防止のための高速走行抑止システムの整備、最高速度規制、大型車の夜間通行止め規制等を実施するとともに、住居系地区等への通過交通の進入を抑制するために、交通規制とコミュニティ道路等の面的整備を組み合わせたコミュニティ・ゾーンの形成等を推進しています。
 さらに、都市内における円滑な交通流を阻害している違法駐車を防止し、排除するため、駐車規制の見直し、悪質・危険性、迷惑性の高い駐車違反に重点を置いた取締り、違法駐車抑止システム、駐車誘導システム等の整備、違法駐車防止条例の制定の働きかけ等の総合的な駐車対策を推進しています。
 過積載運転に対しては、荷主等の背後責任追及を積極的に実施するなど、取締りを一層強化しています。警察による平成13年中の過積載に係る取締り件数は19,384件、道路管理者による平成11年度の車両制限令違反車両に係る指導取締り回数は10,348回でした。

  e 沿道環境の整備
 沿道対策については、「幹線道路の沿道の整備に関する法律」(昭和51年法律第34号、以下「沿道法」という。)に基づき、道路交通騒音の著しい幹線道路の沿道について、まちづくりと一体となった沿道環境の整備が促進されています。具体的には、都道府県知事が指定した沿道整備道路に接続する土地の区域に、市町村長が沿道地区計画を作成し、これらの区域内において、まちづくりに係る誘導規制とあいまって、緩衝建築物の建築費助成や住宅防音工事助成、市町村等の土地買入れ費用に対する国の無利子貸付け等の支援措置を講ずることにより、道路交通騒音により生ずる障害の防止と適正かつ有効な土地利用の促進が図られています。平成13年度末現在、同法に基づく沿道整備道路は、9路線123kmが都道府県知事により指定されています。沿道地区計画はこれらの沿道整備道路の沿道の31地区82.1kmで策定されています。
 なお、沿道対策には、上記の沿道法に基づく各種支援措置と高速自動車国道等の周辺の住宅防音工事助成があります。これらの支援措置の実績は、平成13年度末で、市町村の土地買入れに対する国の無利子貸付けは17件、道路管理者による緩衝建築物の一部費用負担は333件、道路管理者による住宅防音工事助成は18,286件、高速自動車国道等の周辺の住宅防音工事助成は54,576件です。
  f その他の対策
 自動車NOx法に基づく総量削減計画に盛られた施策は、NOx削減効果とあわせて自動車騒音低減効果も有するため、関係都府県に対し助言し、その円滑な実施を図ったほか、環境負荷の少ない自動車の使用法等の普及啓発活動を行いました。

 エ 航空機騒音対策
 航空機のジェット化の進展等は交通利便の飛躍的増大をもたらした反面、空港周辺地域において航空機騒音問題を引き起こしました。特に空港周辺の市街化とあいまって、これまで、民間空港2港及び防衛施設4飛行場においては、夜間の発着禁止、損害賠償等を求める訴訟が提起されています。このような航空機騒音問題を解決するため、発生源対策、空港周辺対策等の諸対策を推進しています。

 (ア)発生源対策
 発生源対策は、航空機単体の騒音を極力低減させるもので、騒音対策上、最も基本的かつ効果的な施策です。これまで、低騒音型機の導入、騒音軽減運航方式の実施等の発生源対策を推進することにより、航空輸送量の増大に対応しつつ、騒音の及ぶ地域を縮小してきました。
  a 低騒音型機の導入等
 一定の基準以上の騒音を発生する航空機の運航を禁止する騒音基準適合証明制度については、逐次規制の強化が行われ、昭和53年に強化された騒音基準に適合しない航空機の運航については、平成7年4月1日以降段階的に制限され、平成14年4月1日以降禁止することとされました。
 また、平成8年5月の航空法の改正により、騒音基準適合証明が耐空証明に一本化されるとともに、型式証明に騒音基準の適合性の証明が盛り込まれ、平成9年10月より従来のジェット機に加え、プロペラ機及びヘリコプターについても規制が実施されています。
  b 発着規制
 緊急時等を除き、新東京国際空港及び東京国際空港(A滑走路及びB滑走路に限る。)については午後11時から午前6時までの間、大阪国際空港については午後10時から午前7時までの間、航空機の発着を禁止しています。さらに、大阪国際空港においては、午後9時以降定期便のダイヤを設定しないこととしています。
  c 騒音軽減運航方式
 各空港の立地条件等に応じて、優先滑走路方式、優先飛行経路方式、急上昇方式、カットバック上昇方式、低フラップ角着陸方式及びディレイドフラップ進入方式が採用されています。
 (イ)空港周辺対策
 発生源対策を実施してもなお航空機騒音の影響が及ぶ地域については、「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」等に基づき周辺対策を行っています。同法に基づく対策を実施する特定飛行場は、東京国際、大阪国際、福岡等15空港であり、これらの空港周辺において、学校、病院、住宅等の防音工事及び共同利用施設整備の助成、移転補償、緩衝緑地帯の整備、テレビ受信料の助成等を行っています(表1-2-17)。



 また、大阪国際空港及び福岡空港については、周辺地域が市街化されているため、同法により計画的周辺整備が必要である周辺整備空港に指定され、国及び関係地方公共団体の共同出資で設立された空港周辺整備機構が関係府県知事の策定した空港周辺整備計画に基づき、上記施策に加えて、これまでに再開発整備事業、代替地造成事業等を実施しています。
 さらに、移転跡地を活用しつつ、空港と周辺地域との調和ある発展を図っていく必要があるため、次の施策を講じています。
 1) 大阪国際空港周辺については、国土交通省及び2府県が緑地の計画的な整備を順次進めています。
 2) 函館、仙台、新潟、大阪国際、名古屋、松山、高知、福岡及び宮崎空港においては、地方公共団体が住宅の移転跡地等を利用して行う公園、緑道等の周辺環境基盤施設の整備に対して補助が行われています。
 また、新東京国際空港では、「特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法」に基づき千葉県が定めた航空機騒音対策基本方針に従い、空港の周辺における適正かつ合理的な土地利用が図られています。
 (ウ)防衛施設周辺における航空機騒音対策
 自衛隊等の使用する飛行場周辺の航空機騒音については、自衛隊機等の本来の機能・目的からみて、エンジン音の軽減・低下を図ることは困難なため、音源対策、運航対策としては、消音装置の設置・使用、飛行方法の規制等についての配慮が中心となっています。在日米軍における音源対策、運航対策については、日米合同委員会等の場を通じて協力を要請しており、厚木、横田、嘉手納及び普天間の各飛行場における航空機の騒音規制措置が合意されています。
 自衛隊等の使用する飛行場に係る周辺対策としては、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」を中心に、学校、病院、住宅等の防音工事の助成、建物等の移転補償、土地の買入れ、緑地帯等の整備、テレビ受信料に対する助成等の各種施策が実施されています(表1-2-18)。
 なお、平成13年度末現在28飛行場周辺について同法に基づく第1種区域等が指定されており、住宅防音工事の助成等が実施されています。



 オ 新幹線鉄道騒音・振動対策
 (ア)対策の実施
 東海道・山陽・東北及び上越新幹線については、「国鉄改革後における新幹線鉄道騒音対策の推進について」(昭和62年3月閣議了解)及び環境庁長官の勧告等に基づく運輸大臣の通達を受けて、鉄道事業者が音源対策、振動対策及び障害防止対策を実施しました。
  a 音源・振動対策
 「第1次及び第2次75ホン対策」に引き続き、平成10年度から「第3次75デシベル対策」として、防音壁のかさあげ、改良型防音壁の設置、レール削正の深度化、バラストマットの敷設、低騒音型車両の開発等各種の音源・振動対策を実施しています。
  b 障害防止対策
 騒音レベルが75デシベルを超える区域に所在する住宅及び70デシベルを超える区域に所在する学校、病院等に対し従来から防音工事の助成等を実施し、申出のあった対象家屋についてはすべて対策を講じています。
 また、東海道・山陽新幹線において、振動レベルが70デシベルを超える区域に所在する住宅等の防振工事の助成及び移転補償等を実施しており、申出のあった対象家屋についてはすべて対策を講じています。
 なお、北陸新幹線高崎・長野間についても、環境基準等の達成に向け、鉄道事業者等による音源・振動対策の推進を図っています。
 (イ)騒音・振動防止技術の研究開発
 音源・振動対策及び障害防止対策をより効果的に実施するため、国鉄の試験研究に関する業務を承継した財団法人鉄道総合技術研究所を中心として、引き続き有効な騒音・振動防止対策の開発等を推進しています。

 カ 在来鉄道騒音・振動対策
 新幹線以外のいわゆる在来鉄道については、新設又は高架化等のように環境が急変する場合の騒音問題を未然に防止する必要があるとの観点から、平成7年12月に策定した「在来鉄道の新設又は大規模改良に際しての騒音対策の指針」(表1-2-19)を踏まえ、騒音対策の適切かつ円滑な実施に努めています。



 キ 近隣騒音対策(良好な音環境の保全)
 近年、深夜等の営業騒音、拡声機騒音、生活騒音等のいわゆる近隣騒音は、騒音に係る苦情全体の約1/4を占めており、重要な対策課題となっています。近隣騒音対策は、各人のマナーやモラルに期待するところが大きいといえますが、各地方公共団体において取組が進められています。また、各地域における地方公共団体や住民等の良好な音環境を保全しようとする取組を支援するため、平成8年度に「残したい“日本の音風景100選”」事業を実施しました(図1-2-29)。平成13年度は、本事業のフォローアップの一環として、認定地団体等の参加により、第5回音風景保全全国大会が埼玉県川越市において開催されました。
 なお、騒音規制法では、飲食店営業等に係る深夜における騒音、拡声機を使用する放送に係る騒音等の規制については、地方公共団体が必要な措置を講ずるようにしなければならないとされており、平成12年度末現在、深夜営業騒音については49都道府県、指定都市、中核市及び特例市で、拡声機騒音については53都道府県、指定都市、中核市及び特例市で条例が制定され規制がなされています。



 ク 低周波音対策
 人の耳には聞き取りにくい低い周波数の音がガラス窓や戸、障子等を振動させたり、人体に影響を及ぼしたりするとの苦情を、平成12年度は地方公共団体において全国で115件受け付けました(平成11年度は45件)。
 低周波音問題の改善を図るため、低周波音に関する知見を収集するとともに、低周波音防止対策事例を集めて、各地において低周波音対策を進める際の参考として地方公共団体に配布しました。

(2)悪臭対策
 ア 悪臭防止対策
 (ア)「悪臭防止法」による規制の実施
 悪臭対策については、悪臭防止法に基づき、工場・事業場から排出される悪臭原因物についての規制等を実施しています。悪臭防止法では、都道府県知事(指定都市、中核市及び特例市においてはその長に委任)が規制地域の指定及び規制基準の設定を行うこととしており、平成12年度末現在、全国の53.4%に当たる1,748市区町村(630市、961町、134村、23特別区)で規制地域が指定されています。平成12年度は、悪臭防止法に基づき、改善勧告が7件行われ、改善命令に至ったものはありませんでした。このほか、規制地域内の悪臭発生事業場に対して8,381件の行政指導が行われました。
 悪臭防止法の事故時の措置に係る規定が平成13年4月1日から施行されたことを受け、悪臭防止法に基づく規制の円滑な運用を図るため、悪臭を伴う事故時の対応を定めた悪臭防止行政ハンドブックの作成に必要な検討調査を行いました。
 (イ)臭気指数規制*の推進

*臭気指数規制
ヒトの嗅覚を用いて算出される「臭気指数」(=10×log(臭気濃度))を指標として工場その他の事業場から排出される悪臭原因物の規制を行う制度

 臭気測定業務従事者の法律への規定等を内容とする改正悪臭防止法及び排出水における臭気指数に係る規制基準の設定方法等を定めた改正悪臭防止法施行規則が、平成13年4月1日から施行されました。これにより、複合臭問題等への対策強化を目的として平成7年に悪臭防止法に導入された嗅覚測定法(人間の嗅覚を用いた悪臭の測定法)による臭気指数規制導入のための基盤が整備されたことから、嗅覚測定法の精度管理・安全管理マニュアルの作成検討調査、地方公共団体職員を対象としたブロック別講習会や嗅覚測定技術の研修等、臭気指数の規制の一層の導入促進に向けた取組を行いました。さらに、嗅覚測定法については、欧州における標準規格化への対応を検討するために必要な調査を行いました。
 また、地方公共団体から委託を受けて臭気指数等の測定を行う臭気測定業務従事者についての国家資格を認定する臭気判定士試験を実施しました。
 (ウ)におい環境保全総合対策
 におい環境の大切さを理解し、身のまわりの悪臭を低減し快適なにおい環境を創造するための市民参加による自主的な地域の取組の推進を図るため、全国のすぐれたかおり風景100地点を認定する「かおり風景100選」事業を実施しました(表1-2-20)。また、このような地域の取組の継続的な支援に向けた体制整備を図るため、常設事務局を設置しました。



 (エ)悪臭防止技術の普及推進
 悪臭対策を行う際の最適な技術の導入や、脱臭機器等の維持管理を容易にすることを目的とし、脱臭機器等に係る性能評価指針の策定を目指し、これまでの脱臭機器等の評価指標・方法に関する知見の収集、評価に用いる測定法の検討などを行いました。

(3)その他の大気に係る生活環境対策
 地方公共団体における光害防止の適切な施策の実施方法や光害防止に係る条例制定に関する方法等の要点を解説した「光害防止制度に係るガイドブック」を策定し、平成13年10月に地方公共団体に送付しました。また、肉眼や双眼鏡等を使った身近な方法による星空観察を通じ、参加者に大気汚染や光害など大気環境問題への関心を高めてもらうことを目的として、全国星空継続観察(スターウォッチング・ネットワーク)事業を実施しています。
 大都市を中心に都市部において郊外と異なる気温上昇の分布を示す現象(ヒートアイランド現象)(図1-2-30)を抑制するため、実態調査を行うとともにその対策手法に関する調査検討を行っています。



 騒音等の公害により、著しく不適当な教育環境となっている公立学校の公害防止工事等に要する経費について補助を行いました(平成12年度3億3,749万円)。さらに、私立学校の公害防止事業に対しては、日本私立学校振興・共済事業団の行う貸付事業において、平成13年度計画額として3億円を措置しました。

前のページ 次のページ