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第2節 

7 大気環境の監視観測体制の整備

 大気汚染状況の常時監視は、環境基準の達成状況の把握、大気汚染防止対策の確立等のために不可欠であり、大気保全行政の基盤をなすものです(地球規模の監視観測については第3章参照)。

(1)国設大気測定網
 ア 国設大気環境測定所
 大気汚染の態様を全国的な視野で把握するとともに、大気保全施策の推進等に必要な基礎資料を得る目的で、国設大気環境測定所及び国設自動車排出ガス測定所が設置されています。これらの国設大気環境測定所に国設酸性雨測定所を加えた全国の国設大気測定網の配置については、図1-2-31のとおりです。



 国設大気環境測定所は、1)地方公共団体が設置する大気環境常時監視測定局の基準局、2)大気環境の常時監視に係る試験局、3)国として測定すべき物質等(有害大気汚染物質、酸性雨)の測定局、4)大気汚染物質のバックグラウンド測定局、5)環境教育の場、としての役割を果たすことを目的に設置されています。平成12年度の国設大気環境測定所10か所における測定結果は、表1-2-21のとおりです。



 沿道における汚染状況の把握については、既設の5か所の国設自動車排出ガス測定所に加え、平成13年度には埼玉県入間市、千葉県野田市、神奈川県厚木市、愛知県飛鳥村及び兵庫県尼崎市の5か所に設置しました。

 イ 国設酸性雨測定所
 国内における酸性雨の実態把握、長距離移送の機構解明、生態系影響の解明等のモニタリングを行うことを目的として、昭和62年度までに国設大気測定所23か所に酸性雨測定器を整備し、その後、平成元年度から逐次国設酸性雨測定所の整備を行ってきました。また、平成9年度には、大気汚染測定所や環境大気測定所から酸性雨測定所への編入が行われるなどの経過を経て、平成13年度当初には計40か所の国設酸性雨測定所が整備されました。

(2)地方大気汚染監視体制
 地方においては、大気汚染防止法に基づき、都道府県知事及び政令市長が大気の汚染の状況を常時監視測定しているほか、それ以外の地方公共団体においても監視測定が行われています。また、大気汚染物質を排出する発生源における二酸化硫黄濃度、燃料使用量等の常時監視を行い、その測定結果を中央監視センターに伝送するテレメーター装置等の整備も進められています。
 一方、国においては都道府県及び政令市が行うこれらの監視測定に必要な測定機器等の整備に対して補助を行い、測定技術の高度化、効率化に対応した監視測定体制の計画的、重点的整備を行っています。有害大気汚染物質についても同様に、都道府県及び政令市が行うモニタリング調査や測定機器等の整備に対して補助を行うとともに、ダイオキシン類の分析体制整備のための設備整備に対しても補助を行っています。

(3) 大気常時監視データ(速報値)の公開
 環境省では平成12年6月から、関東地域(1都7県)を対象に、光化学オキシダント、窒素酸化物、浮遊粒子状物質、二酸化硫黄等の主要な大気汚染物質に関する一時間値をリアルタイムで収集し、地図情報等に加工し、環境省及び国立環境研究所のホームページ上で一般に公開する大気汚染物質広域監視システム(愛称:そらまめ君)の運用を開始しました。平成13年度には関東地域に加えてさらに全国の地方公共団体を対象に情報を収集し、情報提供しています。

(4)環境放射性物質の監視・測定
 環境省では、環境中の放射性物質の監視・測定が環境省の所掌事務となったことを受け、平成12年度から環境中の放射性物質に関する監視・測定を開始しました。国設酸性雨測定所のうち、離島等にある12か所に放射線自動連続モニタリング装置の整備を行い、空間γ線線量率及び大気浮遊じんの全α放射能及び全β放射能のモニタリングを開始するとともに、オンラインによるデータ収集を開始しました。また、バックグラウンドレベルの放射能の調査の一環として、大気浮遊じん、降下物(雨水等)及び周辺の土壌、陸水中に含まれる放射性核種の分析を行いました。

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