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第2節 

3 光化学大気汚染対策

 光化学オキシダントは、依然として、全国ほとんどの地域で環境基準を超え、また、気象条件によっては注意報が発令される事態が生じていることから、今後とも、汚染状況の推移を的確に把握し、適切な対策を講じていく必要があります。

(1)光化学大気汚染緊急時対策
 注意報等の発令の判断に必要な気象データを得るため、気象庁では、全国19か所の気象官署で光化学大気汚染の発生しやすい気象条件の解析と予報を行い、地方公共団体に通報するとともに、必要に応じスモッグ気象情報を発表して国民への周知を図っています。これら情報と測定局データを基に、地方公共団体では、光化学オキシダント緊急時対策要綱等により注意報等を発令すると同時に、ばい煙排出者に対する大気汚染物質排出量の削減及び自動車使用者に対する自動車の走行の自主的制限を要請するほか、住民に対する広報活動と保健対策を実施しています。
 また、山梨県を含めた関東地域(1都7県)を対象に、大気汚染物質広域監視システムにより、光化学オキシダント、窒素酸化物、非メタン炭化水素、浮遊粒子状物質等の主要な大気汚染物質に関する情報の収集・配信をリアルタイムで行っています。平成12年度からは、収集した大気汚染情報及び光化学オキシダント注意報等の発令状況を、環境省及び国立環境研究所のホームページ上で一般に公開するシステム(愛称:そらまめ君)の運用を開始しました。平成13年度には関東地域に加えてさらに全国の地方公共団体を対象に情報を収集し、情報提供しています。

(2) 炭化水素類排出抑制対策
 ア 固定発生源からの炭化水素類排出抑制対策
 光化学オキシダントについては、原因物質と考えられる窒素酸化物及び炭化水素類の排出削減により、一般環境大気中の光化学オキシダントの削減が期待できます。このうち、炭化水素類については、ベンゼン等一部の物質について、自主管理による排出削減を推進しています。

 イ 自動車からの炭化水素排出低減対策
 自動車から排出される炭化水素については、大気汚染防止法に基づく排出ガス規制が昭和48年から実施されており、その後、逐次規制の強化が行われてきています。

 ウ 光化学大気汚染調査研究の推進
 光化学大気汚染は、広域にわたる極めて複雑な現象であることから、光化学反応機構、移流拡散等の気象の影響、原因物質の排出実態、それらを盛り込んだ光化学大気汚染予測モデル及び対策の低減効果等について調査研究を行ってきています。

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