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第3節 

3 「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(ヨハネスブルグサミット)の意義

 本年8月末からヨハネスブルグ(南アフリカ共和国)において「持続可能な開発に関する世界首脳会議」が開催されます。ここでは、地球規模での持続可能性の確保に貢献することが期待されるヨハネスブルグサミットの意義を考えます。

(1)ヨハネスブルグサミットに至る経緯
 1972年(昭和47年)スウェーデンのストックホルムで「かけがえのない地球」をスローガンに国連人間環境会議(ストックホルム会議)が開催され、先進工業国においては経済成長から環境保全への転換が、開発途上国においては開発の推進と援助の増強が重要であるとされました。この時期が地球環境問題が認識され始めた黎明期といえます。
 その20年後に当たる1992年(平成4年)には、ブラジルのリオデジャネイロで「国連環境開発会議」(地球サミット)が開催されました。世界各国から100以上の首脳を含む約180か国の代表、国際機関、企業、NGOなど、2万人以上が集まり、「環境と開発に関するリオ宣言」、持続可能な開発のための具体的行動計画である「アジェンダ21」に加え、「森林原則声明」が採択されるとともに、気候変動枠組条約及び生物多様性条約の署名が開始され、持続可能な開発を進めることが人類の安全で繁栄する未来への道であることが確認されることとなりました。
 地球サミットを契機として、環境に関する意識が世界的に高まり、その結果、多くの環境条約・議定書等が成立し、世界各国や国際機関等による取組が進展しました。また、地球環境に関する観測データの蓄積とそのメカニズムの解明、環境保全型企業活動の進展等もサミット後に急速に進展しました。一方、人口の増大、資源の大量消費、貧困の拡大等による地球環境の悪化、グローバリゼーションの進展に伴う貧富の差の拡大、環境条約や環境に関する国際機関同士の連携不足といった多くの課題が存在しており、アジェンダ21の目標と現実の間にはなおギャップがあります。このような状況の下、地球サミットから10年目に当たる本年、計画の実施状況や新たに生じた課題等について検証し、今後の取組強化を図るため、ヨハネスブルグサミットが開催されることとなっています(図3-3-1)。



(2)ヨハネスブルグサミットの意義
 ヨハネスブルグサミットの意義としては、1)世界の首脳が持続可能な開発の実現に向けた政治的決意を示すことにより、21世紀における持続可能な開発に係る国際的取組の指針を示す会議となり得ること、2)「アジェンダ21」策定後の成果やさらなる実施努力が必要とされる分野に加え、国際社会が直面している新たな挑戦や機会についても検証され、今後の具体的な取組の促進について国際的合意が期待されること、3)政府のみならず、産業界、学界、自治体、NGO等幅広い各界関係者が参加することで持続可能な開発の実現のための取組がさらに促進されること等が期待されています。
 世界各国の首脳が一堂に会し、持続可能な開発の実現に向け、特に開発途上国の環境問題や貧困の問題に取り組むために建設的な議論が行われることは、世界全体で持続可能性を確保するために極めて有意義であり、海外に多くを依存するわが国としても積極的な貢献を行う機会であるといえます。

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