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第2節 

2 水利用の各段階における負荷の低減

(1)発生形態に応じた負荷の低減

 工場・事業場については適切な排水規制を行う。また、排水規制の対象となっていない業種についてその実態調査を実施し、規制の必要性の検討を進めるとともに、未規制項目の調査・検討を行う。さらに、従来の排水規制だけではなく、有害物質を使用しない代替工程の検討や小規模事業場対策として規格化された処理施設の開発等、新たな対策の枠組みづくりを進めていく。また、水の循環利用等を組み込んだ生産工程の導入や建築物等における水の循環利用等を促進する。
 生活排水による水質の汚濁の防止を図るため、下水道整備を促進するほか、地域の実状に応じて、都道府県毎に策定された汚水処理施設の整備等に関する「都道府県構想」に基づき、合併処理浄化槽、農業集落排水施設、コミュニティ・プラント等各種生活排水処理施設の整備をより一層推進する。
 水質汚濁防止法に基づき、生活排水対策のための事業に対する助成を行う。
 また、「水環境フォーラム」の開催等全国的な普及啓発活動、簡易な水質診断手法の推進に関する調査等多面的できめ細かい生活排水対策の施策の展開を図る。
 さらに、非特定汚染源による水質汚濁の実態を把握し、その汚濁負荷の削減対策手法に関する調査研究を実施する。

(2)負荷低減技術の開発・普及

 下水道や合併浄化槽、農業集落排水施設の高度処理技術の一層の開発・普及を図るとともに、植生の水質浄化機能を活用した安価な水質浄化技術や、小規模処理事業場に適用が可能な、安価で汎用性のある排水処理施設の開発を推進する。
 合併処理浄化槽については、膜分離技術を活用した小型合併処理浄化槽の普及に向けて、維持管理面からの技術的な検討等を行う。

(3)水環境の安全性の確保

 有害物質に係る排水規制、地下浸透規制等を適切に実施するとともに、適正な廃棄物処理の推進を図る。
 農薬については、水田で使用される農薬についての水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を引き続き進めるとともに、水田以外で使用される農薬についても当該基準の設定方法について検討を進める。また、農薬の生態影響については、今後検討を進め、施策の具体化に向けた検討を行っていくこととしている。
 地下水に関しては、平成8年の水質汚濁防止法の改正により導入された汚染された地下水の浄化制度等に基づき、地下水浄化の着実な実施を図る。また、有害物質による地下水汚染機構解明に関する調査、汚染された地下水の浄化対策技術に関する調査等を実施する。さらに、硝酸性窒素による地下水汚染については、モデル地域において負荷低減総合対策計画の策定及び効果的な浄化システムの開発に係る調査を行う。
 有害物質に汚染された海域等の底質については、除去等の対策を適切に実施する。

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