前のページ 次のページ

第5節 

7 生物多様性の保全

 「生物の多様性に関する条約」については、平成7年10月に地球環境保全に関する関係閣僚会議において決定した我が国の同条約実施の基本方針及び施策の展開方向を示す「生物多様性国家戦略」に基づき、生物多様性の保全とその構成要素の持続的な利用に関する施策を推進するとともに、同戦略に係る施策の進捗状況の点検を行った。
 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)については、象牙の国際取引について、第41回ワシントン条約常設委員会での決定を受け、日本と南部アフリカ3か国(ボツワナ、ナミビア、ジンバブエ)との間の象牙取引が試験的に再開された。なお、本取引の収益は輸出国におけるゾウの保護の為に使用されることとなっている。
 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)については、平成11年5月に開催された第7回ラムサール条約締約国会議において、日本がアジア地域代表として常設委員会のメンバー国に選ばれた。また、沖縄県の漫湖が同条約に基づく日本での11番めの登録湿地となった。
 アメリカ、オーストラリア、ソ連及び中国との間でそれぞれ締結された二国間の渡り鳥等保護条約(協定)については、日豪渡り鳥等保護協定に基づくプロジェクトとして、衛星発信機を利用したホウロクシギの渡りルート解明等に関する共同調査を実施した。
 サンゴ礁の保全については、国際的枠組みである国際サンゴ礁イニシアティブを推進するとともに、東アジア海地域におけるサンゴ礁に関する情報等の拠点となる「国際サンゴ礁研究・モニタリングセンター」の整備を沖縄県石垣市において整備し、サンゴ礁に関するモニタリング・情報収集を開始する等、地球規模のサンゴ礁モニタリングネットワークの構築に積極的な役割を果たした。
 このほかの国際的な取組としては、開発途上国等における生物多様性保全の取組を支援することを目的として、アジア地域における鳥類のレッドデータブック作成のための協力や、JICAによるインドネシア生物多様性保全計画プロジェクト等が実施されている。

前のページ 次のページ