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第5節 

2 適正な技術の振興

 「持続可能な開発」の推進のため、汚染物質等の直接的な処理技術はもとより、資源、エネルギーの効率的利用のための技術等、地球環境の変化を緩和するための技術開発が必要である。また、特定の地球環境問題の解決のための技術が他の環境問題を起こさないよう配慮するとともに、開発途上国の自然的・社会的条件に適した技術の開発を推進する必要がある。
 このような観点から、地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨等国際的に対応が必要になっている分野において技術開発を推進するとともに、技術開発体制の整備、充実を図った(4-5-3表)。


 また、環境保全に係る研究・技術は、環境保全施策の基盤となるものであり、平成6年に策定された環境基本計画において、調査研究の充実や技術の振興が環境保全に関する共通的基盤的施策の大きな柱として位置付けられている。また、平成8年には科学技術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくため、科学技術基本計画が策定され、研究開発推進の基本的方向として、地球規模の諸問題の解決に資する科学技術の研究開発を推進すること等が挙げられた。
 一方、今日の環境問題の多くは、現代の大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済社会のあり方に根ざしており、地球温暖化問題、生物多様性の減少、廃棄物問題、環境ホルモン問題などに見られるように、これまでにも増して多様化・複雑化している。このような環境問題の解決に向け、将来を見通した研究や新たな技術開発を重点的・効率的に実施していくことが一層必要となっている。
 このような状況の下、環境基本計画の進捗状況の第2回点検結果(平成9年6月閣議報告)において指摘されているとおり、環境問題の解決のための研究及び技術開発を総合的・計画的に推進していくため、21世紀を見通した上で重点的に取り組むべき環境研究・環境技術の課題等について明確な方針を示した環境研究技術基本計画を策定することが今後の課題となっていた。
 このため、平成10年10月、環境庁長官は、中央環境審議会に対し「環境研究・環境技術の振興を総合的、計画的に行うための計画はいかにあるべきか」について諮問を行った。これを受けて、中央環境審議会企画政策部会の下に設置された環境研究技術専門委員会による審議の結果、平成11年7月中央環境審議会より答申がなされ、同月、「環境研究技術基本計画」が策定された。同計画では、環境保全施策を推進していくために今後実施すべき環境研究・環境技術開発の基本的方向と今後取り組むべき重点課題を整理した上で、環境研究技術の各課題の特質を捉え、それらのタイプに応じた的確な制度の構築と運用を図るべきこと等を提言している。

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