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第6節 

2 陸水域〜湖沼・河川の状況

(1)湖沼調査では、湖岸の状況や魚類相の変化が重要な要素である

 わが国には、山岳地帯の湖沼を始め、海が後退してできた海跡湖のように平野部や海岸近くにあるものなど多様な湖沼が存在している。
 湖沼調査では、全国の天然湖沼のうち1ha以上の480湖沼を対象に、湖岸の土地利用の改変状況、魚類相等の調査を行った。
 湖岸の状況では、第3回の調査と比較して自然湖岸が減少し人工湖岸が増加している(3-6-3表)。また、増減の度合いを第3回調査時と比較しても、自然湖岸の減少が大幅に加速していることが明らかになった。調査時点では、自然地が保全されている湖岸は全体の約57%、人為的改変を受けている湖岸は約43%となっているが、現在は湖岸の人工化はさらに進行していることが予想される。
 生息魚種数の調査は代表的な湖沼60湖沼を対象として行った。1湖沼当たりの平均はおおよそ25種である。主要外国産移入魚種では、ブラックバス、ブルーギル、ソウギョ等の生息が調査対象の湖沼の約3分の1で確認されている。こうした外国産移入種は各地の湖沼で定着しつつあり、湖沼の魚類相を含む生態系への悪影響が懸念されるため、今後もその推移に注目する必要がある。



(2)河川調査では原生流域や河岸の改変状況を注視している

 河川や水路等の水辺環境は、水辺や水生の生物の生息地としてだけでなく、多様な動物の生息地である様々な緑地を繋ぐ移動ルートとしても必要なものである。また、陸側から水辺に向けて、水辺林、湿性植物、抽水植物、浮葉植物、沈水植物まで様々な植物の群生が見られる。このような水辺の移行帯はエコトーンと呼ばれ、豊かな生態系を形成している。
 原生流域調査では、第3回調査で登録された101の原生流域(面積1,000ha以上にわたり人工構築物及び森林伐採等の人為の影響の見られない集水域)について、空中写真等により第3回調査以降の人為改変状況を調査した。その結果、伐採、道路の建設等により13流域の原生流域の面積が減少し(合計7,296ha減)、そのうち3流域が原生流域の要件を満たさなくなったため原生流域から除外された。また、新たに1流域(仲間川、沖縄県、1,346.9ha)が原生流域として登録されたため、原生流域は99流域(総面積205,634ha)となった。原生流域面積の大きい保全地域は3-6-4表のとおりである。
 河川改変地調査等では、全国の主要な1級河川の支川及び2級河川の幹川等の中から良好な自然域を通過する河川等153河川を対象に水際線、河原、河畔の改変状況、生息魚種等を調査した。水際線の状況は3-6-4図のとおりであり、総延長の26.6%が人工構造物であった。水際線の自然地率の高い河川は3-6-5図のとおりであり、特に、別寒辺牛川(北海道)、岩股川(秋田県)、長棟川(富山県)及び仲良川(沖縄県)は自然地率100%であった。



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