3 生物の汚染
汚染物質の中には、大気・水質・土壌・底質といった様々な環境の自然的構成要素間にまたがってその存在が確認されているものがあり、生物も汚染の危険にさらされている。
一般環境中に残留する化学物質の早期発見及びその濃度レベルの把握を目的とした平成9年度の魚類に関する化学物質環境調査結果によると、調査対象2物質のうち、テトラフェニルスズが検出されたが、これは底質からも検出されており、今後も調査及び監視が必要である。
継続的に行っている生物モニタリング調査では、12種類(魚類8種、貝類2種、鳥類2種)の生物を21地点で採取した。結果は、調査対象11物質のうち、魚類からは11物質、貝類からは10物質、鳥類からは4物質が検出された(第4-6-2表)。PCB等は使用が中止されてから25年以上経つが、なお延べ14地点から検出されている。PCB等は分解されにくく、生物の体内に入ると、排泄されにくいため蓄積されやすい。このため、一般に食物連鎖の上位に向かうほど濃縮率が高くなる。DDT類、クロルデン類等も農薬や防虫剤等として用いられたものであり、引き続き残留状況を調査していく必要がある。
非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査においても生物を検体としてダイオキシン類等の調査を行っている(第4-2-3表)。平成9年度の調査結果は、前年度までの調査結果と比較して大きく変化したとは認められないが、環境中から広く検出されているため、今後も推移を監視していく必要がある。