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第2節 

3 閉鎖性水域等における水環境の保全

 湖沼・内海・内湾等の閉鎖性水域は、外部と水の交換が行われにくく汚濁物質が蓄積しやすいため水質の改善や維持が難しい。そのため、湖沼は、河川や海域に比べ環境基準達成率が低く推移している。
 湖沼は、富栄養化に伴い、水道水の異臭、漁業への影響、透明度の低下等の問題が生じており、水質改善対策が急務となっている。湖沼に流入する汚濁負荷の発生源は生活系、産業系、畜産系などの多岐にわたり、各発生源の影響の度合いは流域の土地利用や産業構造によって異なる。このため、一律の対策が困難となっている。特に水質の保全に関し対策の必要な湖沼は、湖沼水質保全特別措置法に基づく指定湖沼に指定し、当該湖沼について策定された湖沼水質保全計画に基づき、他の公共用水域より厳しい排水規制に加え、下水道等の整備や蓄積した汚濁物質の除去対策等細かな対策を実施している。しかし、各指定湖沼の水質改善状況は全般的にははかばかしくない(第4-2-5図)。
 閉鎖性海域の水質改善には、その海域に流入する汚濁負荷量の削減が肝要である。そのために、水質総量規制が制度化されている。総量規制制度では、現行の排水基準では環境基準の達成が困難な海域として東京湾、伊勢湾、瀬戸内海を指定し、CODの削減を目指している(第4-2-6図)。総量規制の仕組みは、内閣総理大臣が総量削減基本方針で指定水域ごとに汚濁負荷量の削減目標量、目標年度を定め、これに基づいて都道府県知事が総量削減計画でその都道府県内の発生源別の削減目標量及びその達成の方途等の事項を定める。その計画に基づき、下水道の整備等各種生活排水処理施設の整備、工場・事業場に対する総量規制基準による規制、教育・啓発等の所要の対策を実施することとしている。
 現在、第四次総量規制が実施されており、平成11年度を目標としてCODの汚濁負荷量を全体で平成6年度の95%に削減することとしている。

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