前のページ 次のページ

第2節 

2 水利用における負荷の低減

 我が国の水質汚濁は、工場、事業場排水に関しては、排水規制の強化等の措置が効果を現している。一方生活排水は、下水道や合併処理浄化槽等の整備がいまだ十分でない等対策が遅れている。特に流域の都市化が進んでいる湖沼では、下水道の整備などが人口の増加に追いつかず、排出負荷量のうち生活排水の占める割合が大きい。このほかに、市街地、土地造成現場、農地等の非特定汚染源から降雨等により流出する汚濁負荷や、従来からの水質汚濁の結果として沈殿、堆積した低質からの栄養塩類の溶出等による汚濁が我が国の水質汚濁の要因として重要なものとなっている。
 工場・事業場の排水については、「水質汚濁防止法」により、特定事業場から公共用水域に排出される水について、全国一律の排水基準が設定されている。さらに環境基準の達成が困難な水域においては、都道府県の条例で、より厳しい上乗せ基準を設定し得るとされており、現在は全ての都道府県において上乗せ基準が設定されている。
 日常生活に伴う排水も環境の大きな負荷となっている。生活排水におけるBOD負荷量を発生源別にみると、台所からの負荷が約4割、し尿が3割、風呂が2割、洗濯が1割を占める。生活雑排水は、家庭での発生源対策により相当の負荷削減が期待できる。このため、住民の意識啓発や実践活動の推進を重要な施策としている。また、生活排水対策として下水道や、地域の事情に応じた合併処理浄化槽等の処理施設の整備等に総合的に取り組んでいる(第4-2-4図)。

前のページ 次のページ