6 自然のメカニズムの回復
1〜5に掲げたような手法によって、自然のメカニズムと人間の活動との調整の接点を見いだすことが可能であると思われる。しかし、このような段階を経ても、自然のメカニズムへの多少の悪影響が生じることも想定される。また、今までの長い歴史の過程で既に失われたものもかなり存在する。そこで、人間活動によって失われた自然のメカニズムを再度回復する試みが実施されている。このような手法としてドイツの連邦自然保護法に基づくビオトープネットワーク、農地整備計画手法等があげられる。なお、ドイツでは開発行為により悪影響を与えた自然環境を別の地域で再現する代償措置等も実施されている。生物多様性保全モデル計画においても、生物多様性回復拠点が設定され、生物多様性配慮地域と回復拠点をつなぐネットワークの形成も課題に挙げられている。
また下流市民の上流域への植林、都市市民の里山林の管理、農業等へのボランティア等も人間活動が自然のメカニズムの回復に資する取り組みとしてこれからの進展が期待されるといえる。