2 の排出量の抑制の考え方
(1) CO2の排出の抑制の考え方について
我が国から人為的に排出される温室効果ガスの95%がCO2であり(ただし、CFC、HCFCによる寄与は除く。)、また、その91.7%がエネルギーの使用に伴って発生するものである。
したがって、地球温暖化防止対策の実施に当たっては、エネルギーの使用に伴うCO2の排出抑制が鍵となっている。
エネルギーの使用に伴うCO2の排出を抑制していくためには、?一次エネルギー投入量をできるだけ小さくしていくことと、?投入されるエネルギーの種類をできるだけCO2の排出量の少ないエネルギーに転換していくことが必要である。
(2) 一次エネルギー投入量の抑制について
第1-2-26図は、我が国のエネルギー供給・消費のフローチャートを示したものである。これによると、投入されたエネルギーは、直接に産業・運輸・民生の各部門で消費されるものと、電力に変換された後、各部門で消費されるものに分けられるが、一次エネルギー投入量のうち有効に利用されているのは、平成6年度において33%に過ぎず、67%が排熱等の形で直接環境中に捨てられている。これは、例えば、火力発電所においては投入エネルギーの約39%が電気に、ガスコンロにおいては投入したエネルギーの約45%がお湯に、ガソリン自動車の定速走行時においては投入したエネルギーの約15%が動力に変換されるに過ぎず、残りはいずれも排熱等の形で環境中に捨てられていることに見られるように、エネルギーを十分に使い切ってはいないことによる。
なお、最終的には、有効に利用されたエネルギーも、利用されずに失われたエネルギーも全て廃棄熱等になる。
一次エネルギー投入量をできるだけ小さくしていくためには、?エネルギーを有効に活用し、この67%の損失の比率をできるだけ小さくしていくことと、?有効に活用されているエネルギーの絶対量をできるだけ小さくしていくことが必要である。
一方、損失の割合をみると、昭和50年度に62.5%だったものが平成6年度には67%となっており、その割合はむしろ増加しつつある。