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第1節 

4 多様な有害物質による健康影響の防止

 石綿製品等を製造する工場・事業場については、石綿による大気汚染を未然に防止する観点から大気汚染防止法の適正な運用に努めるとともに、石綿測定技術者の育成事業を引き続き行うこととしている。
 また、吹付け石綿等を使用する建築物の解体等の作業に伴う石綿の排出又は飛散の防止を図るため、その作業の方法に関する基準の設定等の所要の措置を講ずる。
 トリクロロエチレン及びテトラクロロエチレンについては、大気環境指針が確保される上で必要と認められる場合は、工場・事業場に対して、大気中への排出の抑制を計画的に進めるよう協力を求めるなど、両物質による大気汚染の防止のための計画的な取組を行っていく。
 さらに、近年の我が国の大気の調査結果によると、大気中から低濃度ではあるが発ガン性等の有害性が問題とされる物質が種々検出されており、物質によってはその長期暴露による国民の健康への影響が懸念される状況に至っていることから、有害大気汚染物質対策の推進に関する各種規定を盛り込んだ「大気汚染防止法の一部を改正する法律案」を第136回国会に提出したところであるが、同法案を踏まえ、有害大気汚染物質による大気汚染状況の把握、健康被害のおそれの程度の評価・公表、排出抑制技術に関する情報の収集・整理、その成果の普及に努めるとともに、ベンゼン等の早急な排出抑制対策を講ずべき物質について、排出抑制基準を設定し、より確実な排出抑制の取組を事業者に求めることとする。また、同法案においては、法案の施行後3年を目途として有害大気汚染物質対策に係る制度について検討を加え、その結果に基づいて、有害大気汚染物質による大気の汚染により人の健康に係る被害が生ずることを未然に防止するため、所要の措置を講ずることを規定していることから、引き続き有害大気汚染物質に係る各種の知見の充実に努める。

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