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第5節 

7 生物多様性の保全

 我が国は、これまでも国内法令に基づき決定された基本方針等に沿って生物多様性の保全と持続可能な利用に取り組んできたところであるが、「生物の多様性に関する条約」第6条に基づき、我が国の同条約実施の基本方針及び施策の展開方向を示す生物多様性国家戦略を平成7年10月31日に地球環境保全に関する関係閣僚会議において決定した。
 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)については、平成7年10月に本条約のアジア地域会合をわが国において開催し、サイ・トラの取引など、アジア地域における本条約実施上の諸問題やアジア地域における協力のあり方等について検討が行われた。また、平成6年6月に一部改正した「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」が平成7年6月より施行され、国内における条約履行体制の強化が図られた。
 「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)については、引き続きアジア諸国の加盟促進に努めるとともに、湿地保全に関する人材養成や調査研究への協力など、同地域における協力体制の一層の強化を図った。
 米国・豪州・ロシア・中国との間で締結されている二国間の渡り鳥等保護条約・協定については、日ソ渡り鳥等保護条約に基づくプロジェクトとして、昨年に引き続き、平成7年2〜3月にロシアの研究者を招待し、北海道において衛星発信機を利用したオオワシの渡りルート解明等に関する共同調査を行った。
 サンゴ礁の保全については、国際的枠組みである国際サンゴ礁イニシアティブにおいて、国際ワークショップを共催する等、積極的な役割を果たした。特に東アジア地域については、地域会合の開催等、地域の取組の推進に努めた。
 このほかの国際的な取組としては、開発途上国等における生物多様性保全の取組を支援することを目的として、アジア地域における鳥類のレッドデータブック作成のための協力や、JICAによるインドネシア生物多様性保全計画プロジェクト等が実施されている。

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