2 広域的な問題への対策
(1) 酸性雨等に係る対策
酸性雨による被害を未然に防止する観点から、平成5年度より開始した第3次酸性雨対策調査(5年度〜9年度)により、酸性雨原因物質の定量的把握、酸性雨原因物質の排出削減等に向けてシミュレーション手法等を用いた検討、陸水、土壤・植生の継続的モニタリング、各種影響等予測モデルの開発を行い、その実態解明と対応措置の検討に資する。
また、既設の47か所の測定所に加え1か所の測定所を新たに整備し、酸性雨測定網の充実を図る。
さらに、酸性雨等による森林衰退の実態把握をするため、全国的規模のモニタリングを継続する。
国際的な取組として、「東アジア酸性雨モニタリングネットワークに関する専門家会合」の成果を踏まえ、モニタリングネットワーク構想策定に向けた検討を進めるとともに、南鳥島の全球観測所において、降水・降下塵の化学成分観測を開始する。
(2) 光化学オキシダント対策
光化学大気汚染はその原因物質が移流・拡散する過程で光化学反応を起こすことにより生じるものであり、気象条件とも関連が深いことから、緊急時措置の的確な実施に資するため、引き続き下層大気の気象観測を行う。また、近年、汚染地域が大都市周辺地域にまで広域化していることを踏まえ、酸性雨、浮遊粒子状物質も含めた大気汚染物質広域監視システムの整備に向けた取組を行う。さらに、原因物質の一つである炭化水素類について、光化学大気汚染予測モデルの改良を行いつつ、削減方策及び削減目標量の検討を行うなど計画的な取組を行う。