前のページ 次のページ

第1節 

1 地球規模の大気環境の保全

(1) 地球温暖化対策
 環境基本計画において、長期的には気候変動枠組条約の究極的な目的の達成、中期的にはそのための国際的な枠組みづくりへの貢献、当面は地球温暖化防止行動計画を着実に推進することを明確に定めたところであり、今後とも、環境基本計画に基づき、条約及び行動計画に規定された各種の措置を講じるとともに、国際的な議論及び活動に積極的に参画していく。
 具体的には、地球温暖化防止行動計画に基づき、二酸化炭素排出の少ない技術の開発普及・社会システムの形成等の二酸化炭素排出抑制対策、メタンその他の温室効果ガスの排出抑制対策、森林保全等の二酸化炭素吸収源対策、科学的調査研究、観測・監視、技術開発及びその普及、普及・啓発、国際協力等広範な対策を引き続き実施していく。
 また、世界各国が協調して革新的環境技術の開発等に取り組む総合的かつ長期的ビジョン(地球再生計画)の具体化の促進に努める。
 条約への対応としては、気候変動枠組条約の規定に基づき各先進締約国によって送付される情報の審査プロセスに積極的に関与していく。また、気候変動枠組条約第1回締約国会議を受けて、現行の条約では具体的に決められていない2000年以降の取組、国際的に協力して温暖化対策を進める「共同実施活動」、開発途上国に対する国際的な資金による援助(GEF等)等について検討されていくこととなるが、我が国としてもこのような国際的な議論に引き続き積極的に参画していく。また、気候変動枠組条約第1回締約国会議においてOECD加盟24か国により共同提案した「気候変動技術イニシアチブ(ClimateTechnology Initiative:CTI)」を推進する。
 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、1995年(平成7年)末を目標に、それまでに得られる最新の科学的知見を集約・整理した第2次評価報告書をとりまとめる予定である。我が国としても、第2次評価報告書の採択を行うことになっている1995年(平成7年)12月の第11回全体会合を始めとする関連会合及び第2次評価報告書の作成作業に積極的に参加し、IPCCの活動に引き続き貢献していく。
(2) オゾン層保護対策
 特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律に基づき、クロロフルオロカーボン(CFC)等規制対象物質の円滑な削減を図るとともに、その排出抑制、使用合理化の一層の推進に努める。特に、CFC,四塩化炭素及び1,1,1-トリクロロエタンについては、1996年(平成8年)以降全廃となることから、その周知徹底を図り、代替物質等への転換を促進する。また、オゾン層の破壊及びそれに伴う環境影響、CFC等の破壊技術や代替品等に関する科学的知見の充実のための調査研究を推進するとともに、ODA経費等を活用し、開発途上国への援助の強化に取り組む。
 さらに、1992年のモントリオール議定書第4回締約国会合において促進することが決議されている使用済みCFC等の回収・再利用・破壊については、関係省庁による「オゾン層保護対策推進会議」での検討結果に基づく回収等の社会システムの形成の促進、CFC等の破壊処理体制の整備及び国民各層に対する普及啓発等を通じ、積極的に促進する。

前のページ 次のページ