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第2節 

5 光化学大気汚染対策

 光化学オキシダント濃度は、依然、全国ほとんどの地域で環境基準を超え、また、気象条件によっては注意報が発令される事態が生じていることから、今後とも、汚染状況の推移を的確に把握し、適切な対策を講じていく必要がある。
(1) 光化学大気汚染緊急時対策
 注意報等の発令の判断に必要な気象デ―タを得るため、環境庁では、夏季に光化学大気汚染の発生しやすい東京湾及び大阪湾の2地域内の4地点で気象観測を行い、関係地方公共団体に気象情報の提供を行っている。また、気象庁では、全国19か所の気象官署で光化学大気汚染の発生しやすい気象条件の解析と予報を行い、地方公共団体に通報するとともに、必要に応じスモッグ気象情報を発表して国民への周知を図っている。これら情報と測定局デ―タを基に、地方公共団体では、光化学オキシダント緊急時対策要綱等により注意報等を発令すると同時に、ばい煙排出者に対する大気汚染物質排出量の削減及び自動車使用者に対する不要不急の自動車の走行の自粛を要請するほか、住民に対する広報活動と保健対策を講じている。
(2) 炭化水素類排出抑制対策
ア 固定発生源からの炭化水素類排出抑制対策
 環境庁では、昭和57年7月、炭化水素類固定発生源対策検討会における排出実態の把握、排出防止技術の評価等についての検討結果等を踏まえ、固定発生源に対する炭化水素類の排出抑制対策の強化、推進を図るため、「光化学大気汚染防止のための炭化水素類対策の推進について」を決定した。環境庁は、この方針に基づき、地方公共団体等関係方面に対して、炭化水素類の排出抑制対策の推進について所要の要請を行っている。
イ 自動車からの炭化水素排出低減対策
 自動車から排出される炭化水素については、昭和45年から規制が実施されており、ガソリン・LPG乗用車についてみると、1台当たりから排出される炭化水素の量は、未規制時に比べて92%の削減となっている。
(3) 光化学大気汚染調査研究の推進
 光化学大気汚染は、広域にわたる極めて複雑な現象であり、それに関する調査も、光化学反応機構、移流拡散等の気象の影響、原因物質の排出実態、それらを盛り込んだ光化学大気汚染予測モデル、さらには、光化学オキシダントによる植物影響など広範な分野にわたって行われている。

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