4 先進国首脳会議(サミット)における環境問題への取組
1981年(昭和56年)のオタワ・サミット以来、経済宣言において環境問題が取り上げられてきているが、特にアルシュ・サミット以降地球環境問題が重要な課題として位置付けられていることが大きな特色である。
環境と開発に関する国連会議(UNCED/地球サミット)直後に開催された1992年(平成4年)7月のミュンヘン・サミットにおいては、地球サミットは、地球環境の課題に対する意識を高める上で、また、環境と開発とに関する世界的なパートナーシップを形成する過程に対し新たな弾みを与える上で画期的であったとし、気候変動に対するコミットメントを遂行し、森林と海洋とを保護し、海洋資源を保全し、また生物の多様性を維持するため、迅速かつ具体的な行動が求められるとし、先進国及び開発途上国のすべての国に対し、政策と資源とを現在及び将来双方の世代の利益を保護する持続可能な開発に向けるよう求めることとされた。このため、地球サミットで高まった機運を持続させるため、他の国々が先進7か国とともに以下に行動をとることを要請した。
(a) 1993年(平成5年)末までに気候変動枠組条約を批准するよう努力すること。
(b) UNCEDにおいて見通されたように、1993年(平成5年)末までに国別の行動計画を策定し公表すること。
(c) 種及びそれらが依存する生息環境を保護するよう努めること。
(d) 特に国際開発協会(IDA)ヘの増資を通じた政府開発援助による持続可能な開発のため、及び、地球環境ファシリティ(GEF)が恒常的な資金供給メカニズムとして確立されることを目的とするGEFを通じた世界的に利益をもたらす措置のため、開発途上国に対し追加的な資金的及び技術的支援を供与すること。
(e) 1992年(平成4年)国連総会においてアジェンダ21の実施を監視する上で重要な役割を果たす「持続可能な開発委員会」を設置すること。
(f) 森林に関する諸原則のための国際的な審査ブロセスを確立すること、これら原則の実施を基礎に、可能な国際的に合意された適切な取決めについて早期に対話を行なうこと、及び国際的な支援を拡大すること。
(g) 宇宙衛星及び他の地球観測プログラムからのデータのより有効な活用等を通じた、地球環境のモニタリングを一層改善すること。
(h) 革新的技術に関するプログラムのための提案を含む、エネルギー・環境技術の開発及び普及を促進すること。
(i) 可能な限り早期に、200海里内と公海とにまたがる漁業資源、及び高度回遊性魚種に関する国際会議が招集されることを確保すること。